河越庄(読み)かわごえのしよう

日本歴史地名大系 「河越庄」の解説

河越庄
かわごえのしよう

入間いるま川流域の現上戸うわどを中心とする周辺一帯に比定される京都新日吉いまひえ社領庄園。河肥庄とも書く。開発領主は平姓秩父氏一族の重隆で、重隆は当地名字の地として河越氏の祖になったとされる。立庄時期は不詳だが、重隆の孫の重頼までの間に新日吉社に寄進されて成立し、おそらく本家後白河法皇、領家は新日吉社で、寄進者の河越氏は在地領主権を留保したまま庄官となったと思われる。「吾妻鏡」文治二年(一一八六)七月二八日条に「新日吉社領武蔵国河肥庄」とみえ地頭請所である当庄で地頭が去々年(元暦元年)年貢を対捍しているのは、領主(領家)が幼少なので地頭が請料を不法に設定しているのかもしれないと武蔵寺に調査を命じている。しかし調査の結果、去年領家が死去したため、年貢をだれに進納すべきかがわからず自然と滞留したもので、地頭が故意に抑留したのではないとされ、領家の孫の禅師君に年貢を送るべきことなどが地頭に命じられている(同書同年八月五日条)

河越重頼の所領は娘が源義経の妻となっていたために文治元年源頼朝によって収公され、重頼母に預けられた(「吾妻鏡」同年一一月一二日条)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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