朝日日本歴史人物事典 「沼尻墨僊」の解説
沼尻墨僊
生年:安永4.3.15(1775.4.14)
江戸後期の地理学者。折りたたみ式地球儀を考案した。通称は常治(のち完蔵),名は一貞,字は公幹,号は無適散人ほか,室名は天章堂。常陸国土浦(土浦市)の人。学統は不明ながら天文地理を得意とし,寛政12(1800)年まず「万国全図円機」なる地球儀を作り,安政2(1855)年に12本の竹骨から成る傘式の地球儀(極直径23.5cm,組立式架台つき)を考案した。木版刷りのその図は新発田収蔵の『新訂坤輿略全図』(1852)の系統で,簡単な解説書『大輿地球儀附録』が添えられている。安政3年8月までに約100個作られた。ほかに渾天儀,天球星図,象限儀も製作した。<参考文献>土浦市教育委員会編『町の科学者沼尻墨僊』
(海野一隆)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報