改訂新版 世界大百科事典 「法皇山横穴群」の意味・わかりやすい解説
法皇山横穴群 (ほうおうざんよこあなぐん)
石川県加賀市勅使町に所在する横穴群。石川県南部の江沼盆地をのぞむ法皇山塊を中心に営まれ,77基を数える。ただし未確認分などを含めると,総数は200基を下らないという。大正年間に上田三平が一部を発掘して学界に紹介し,1964-66年に地元の大聖寺高校が分布調査を行って,新たな横穴を発見した。さらに67,68年には,加賀市教育委員会が整備のためにあらためて発掘調査を実施するなど,全容の解明につとめた。軟質凝灰岩の地山(じやま)に掘りこまれ,玄室と羨道(せんどう)とからなるもの,玄室と前室とをもつもの,玄室,副室,前室の3室をもつものなど一様でない。また,玄室の形態にも家形やボールト形天井をもつものなどの差異がある。玄室長は最大13m,最小2.6mを測る。出土品には耳環,刀,鉄鏃,土師器(はじき),須恵器などがある。7世紀に営まれた大横穴群として特筆に値する。
執筆者:川西 宏幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報