改訂新版 世界大百科事典 「法道寺善」の意味・わかりやすい解説
法道寺善 (ほうどうじぜん)
生没年:1820-68(文政3-明治1)
幕末の数学者。算変法の創始者として名高い。通称和十郎,字は通達,観山と号した。初め広島で梅園立介に数学を学び,後に江戸へ出て内田五観の塾でさらに数学を学ぶ。内田の塾を出て,日本全国を遊歴し,各地で数学を教授した。著書は多いが,刊行された書はない。その当時,円の中に多数の円を互いに内外接させる問題が流行した。解決法の手段として,共通接線を使ってきれいな公式にまとめたのが安島直円で,この安島の方法を,今日の反転法に相当する方法を適用して,簡単に計算できるようにしたのが法道寺の算変法である。彼はこれを《観新考算変》という書にまとめて,各地の和算家の家に書き残している。算変法は,長谷川寛の変形術や極形術にヒントを得て作られた方法である。彼は,そのほかに図形の重心,種々のサイクロイド,そのほか多くの問題に解を与えている。
執筆者:下平 和夫
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