泥眼(読み)デイガン

デジタル大辞泉 「泥眼」の意味・読み・例文・類語

でい‐がん【泥眼】

能面の一。目に金泥を塗った女面。元来は「海士あま」「当麻たえま」などの菩薩ぼさつに、のちには、「葵上あおいのうえ」「鉄輪かなわ」などの女性の生きりょうにも用いる。

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精選版 日本国語大辞典 「泥眼」の意味・読み・例文・類語

でい‐がん【泥眼】

  1. 〘 名詞 〙 能の女面の一つ。眼に金泥を塗り、女性の生霊の面として嫉妬に狂った美しい女を表わし、「葵上(あおいのうえ)」「鉄輪(かなわ)」などに用いる。もと、女人が成仏して菩薩になった際の顔付きともいわれ、「海士(あま)」などに用いた。
    1. 泥眼〈東京国立博物館蔵〉
      泥眼〈東京国立博物館蔵〉
    2. [初出の実例]「一、天冠戴く能は、増の面(おもて)なり。ただし菩薩の能ならば、でいがんの女面なるべし」(出典八帖花伝書(1573‐92)五)

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世界大百科事典(旧版)内の泥眼の言及

【能面】より

…(4)は最も能面らしい表現のものといわれ,若い女面として小面(こおもて),増(ぞう),孫次郎,若女の4タイプがあり,それぞれ現在は流派によって使用を異にしている。やや老け役の面として曲見(しやくみ)と深井があり,これに霊性をもたせたものが泥眼(でいがん),増(十寸)髪(ますかみ),年たけた霊性のものとして霊女(れいのおんな),瘦女(やせおんな),老女,姥(うば)などがある。 能面は,能が本来演劇と歌舞の二つの要素の巧みな統合によって成り立っているように,写実と抽象の巧みな融合によって一つの形式美を作り出すところに特色がある。…

※「泥眼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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