家庭医学館 の解説
ちゅうもくをあびるけっかんしんせいそがいざい【注目を浴びる血管新生阻害剤】
この血管新生を抑え、がんを兵糧攻(ひょうろうぜ)めにして自滅させる方法が、血管新生阻害というがんの治療法です。
1998年、米国で開発された血管新生阻害剤が、「夢のがん特効薬」として、世界的に大きな反響を呼びました。
この新薬は、がん患者さんの血液から分離された「アンジオスタチン」と「エンドスタチン」と呼ばれる特殊なたんぱく質です。体内物質なので毒性や副作用もなく、大いに期待されています。米国では臨床試験が始まりました。
一方、日本でも、この血管新生阻害による治療法は注目されています。同じく1998年、がんの浸潤(しんじゅん)、転移(てんい)を抑える「NK4」という物質が血管新生をも阻害することがみいだされ、「第57回日本癌学会」で発表されました。このNK4はアンジオスタチンより強力な阻害作用をもつものです。
血管新生阻害剤は、がんを縮小する作用は強くないものの、転移を抑制したり、転移後でも成長を抑えるはたらきがあるので、抗がん剤や外科療法との集学的治療(しゅうがくてきちりょう)で、延命効果を高めると期待されています。
なお、日本でも臨床試験が行われています。