最新 地学事典 「洪水説」の解説
こうずいせつ
洪水説
Diluvial theory
聖書にいうノアの洪水(DelugeまたはNoah’s Flood, あるいはNoachian Deluge)を地球の歴史上の最大の事実とし,化石を洪水によって死滅した生物の遺体とみる説。古来,化石は神秘的なもの,自然の戯れとみなされたが,中世以降生物の遺体とする説が固まるにつれて,17, 18世紀ごろ支配的見解となる。英国のJ.ウッドウォード,スイスのJ.ショイヒツァーらはその代表者で,彼らは洪水論者(Diluvialist)と呼ばれる。洪水説は宗教的自然観との妥協の産物で,キュビエの激変説でさらに改訂され,19世紀中ごろまで存続したが,近代的地質学が確立されるとともにその影響力を失った。diluviumはラテン語で「洪水」の意味であり,洪積統(Diluvium)はその名残の名称。
執筆者:今井 功
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

