流用移用(読み)りゅうよういよう

改訂新版 世界大百科事典 「流用移用」の意味・わかりやすい解説

流用・移用 (りゅうよういよう)

予算歳出は原則として,予算に定められた目的以外に使用することを許されない。しかし予算編成後の事情の変化等により当初の目的どおり予算が実行できないような場合,あるいは実行することが不適切な場合がある。このような場合に,それが補正予算を組む必要のない軽微なものである際には,国会議決および法令の許す範囲内において,予算区分相互間で,経費の不足している区分と経費の余っている区分とをそれぞれ融通して経理することがある。これを予算の流用あるいは移用という。予算はそれを所管している部局等の組織別に,あるいはその金額の内容を表す科目(項,目)別に区分してあるが,異なる組織間または異なる項の間の融通が〈移用〉であり,項をさらに細かく区分した目の間のみの融通が〈流用〉である。流用も移用も予算の変更であるから,これを無制限に認めるわけにはいかない。移用を行う場合には,まずあらかじめ予算総則において移行が認められる組織および項について国会の議決を経たうえで,さらに実際の移用の際に大蔵大臣承認を得なければならない。また流用についても,すべて大蔵大臣の承認が必要である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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