浅田一鳥(読み)あさだ・いっちょう

朝日日本歴史人物事典 「浅田一鳥」の解説

浅田一鳥

没年:安永9.10.20以前(1780.11.16)
生年:生年不詳
江戸中期,上方浄瑠璃作者。豊竹座の作者として寛保1(1741)年から明和4(1767)年の26年間に計42編の合作または増補にたずさわったが,単独作はない。京都堺町に住んだ謡師森野長三郎の筆名であったと伝える。それ以外の出自,経歴はいっさい分からない。なお元文年間(1736~41)に文耕堂,三好松洛 らと共に竹本座の浄瑠璃3作にかかわった浅田可啓とは同一人の可能性も考えられる。関与作で現在も上演されるものに,「一谷嫩軍記」「祇園祭礼信仰記」「岸姫松轡鑑」などがある。<参考文献>入我亭我入『戯財録』(日本思想大系61巻),『義太夫年表/近世篇1』,国立劇場芸能調査室編『浄瑠璃作品要説(6) 為永太郎兵衛・浅田一鳥篇』

(井口洋)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「浅田一鳥」の解説

浅田一鳥 あさだ-いっちょう

?-? 江戸時代中期の浄瑠璃(じょうるり)作者。
寛保(かんぽう)元-明和4年(1741-67)大坂豊竹座の作者として活躍前身は京都の浄瑠璃太夫森野長三郎。並木宗輔,並木丈輔,若竹東工郎(とうくろう)らとの合作で四十余編の作品をかいた。代表作に「播州皿屋鋪」「玉藻前曦袂(たまものまえあさひのたもと)」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「浅田一鳥」の意味・わかりやすい解説

浅田一鳥
あさだいっちょう

江戸時代中期の浄瑠璃作者。寛保1 (1741) ~明和4 (67) 年豊竹座の作者の一人として,『播州皿屋舗 (ばんしゅうさらやしき) 』などの合作・増補にたずさわった。

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世界大百科事典(旧版)内の浅田一鳥の言及

【一谷嫩軍記】より

…1751年(宝暦1)12月大坂豊竹座初演。並木宗輔,浅田一鳥,浪岡鯨児,並木正三らの合作。宗輔が三段目までを書き,没後に浅田らが完成したと伝えられる。…

【勢州阿漕浦】より

…次郎蔵を3世中村歌右衛門,平次を2世嵐璃寛,平次母を7世片岡仁左衛門。《田村麿鈴鹿合戦》の作者は浅田一鳥,豊田正蔵であるが,この四段目の作者も同一か。題材は〈逢ふ事も阿漕が浦に引く網もかず重ならば人も知りなむ〉(《古今六帖》)に禁漁伝説をからませた謡曲《阿漕》が古浄瑠璃《あこぎの平次》となり,この系統から本作となる。…

【玉藻前曦袂】より

…角書〈那須野狩人那須野猟師〉。浪岡橘平,浅田一鳥,安田蛙桂作。1751年(宝暦1)正月大坂豊竹座初演。…

【倭仮名在原系図】より

…5段。浅田一鳥,浪岡鯨児,並木素柳らの合作。1752年(宝暦2)12月大坂豊竹座初演。…

※「浅田一鳥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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