浮れる(読み)ウカレル

デジタル大辞泉 「浮れる」の意味・読み・例文・類語

うか・れる【浮(か)れる】

[動ラ下一][文]うか・る[ラ下二]《「浮く」から派生した自発形か》
楽しくなって心がうきうきする。おもしろさに心を奪われる。「酔って―・れる」「月に―・れて歩く」
自然に浮く。浮かぶ。
「めぐりあふ末をぞたのむゆくりなく空に―・れし十六夜いざよひの月」〈十六夜日記
当てもなく歩き回る。
住吉すみのえの津守網引の浮けの緒の―・れか行かむ恋ひつつあらずは」〈・二六四六〉
落ち着かなくなる。動揺する。
「さらぬだに―・れてものを思ふ身の心をさそふ秋の夜の月」〈山家集・上〉
[類語]のぼせるほうける喜ぶ浮き立つ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「浮れる」の意味・読み・例文・類語

うか・れる【浮】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]うか・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙 ( 「浮く」の自発形か )
  2. 浮いた状態になる。自然に浮く。浮かぶ。
    1. [初出の実例]「開闢(あめつちのひらくる)初めに、洲壌(くにつち)浮漂(ウカレただよへること)、譬(たと)へば猶(なほ)游ぶ魚の水の上(へ)に浮けるがごとし」(出典:日本書紀(720)神代上(寛文版訓))
  3. ひとところにとどまらないで移動する。ある場所を出て、さまよう。さすらう。
    1. [初出の実例]「住吉(すみのえ)の津守網引(あびき)のうけの緒の得干(うかれ)か行かむ恋ひつつあらずは」(出典:万葉集(8C後)一一・二六四六)
    2. 「となりの国よりうかれて此国に来れり」(出典:観智院本三宝絵(984)中)
  4. 心が落ち着かなくなる。動揺する。
    1. [初出の実例]「ひとふしにおぼしうかれにし心、しづまりがたうおぼさるるけにや」(出典:源氏物語(1001‐14頃)葵)
    2. 「さらぬだにうかれてものを思ふ身の心をさそふ秋の夜の月」(出典:山家集(12C後)上)
  5. おもしろくて夢中になる。興に乗る。陽気になってはしゃぐ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「話にうかれて、薬をあげもふさなんだ」(出典:人情本・春色梅児誉美(1832‐33)初)

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