惚ける(読み)ボケル

デジタル大辞泉 「惚ける」の意味・読み・例文・類語

ぼ・ける【×惚ける/×暈ける】

[動カ下一][文]ぼ・く[カ下二]《「ほける」から》
頭の働きや知覚がにぶくなる。もうろくする。「年とともに―・けてきた
漫才で、とぼけたことを言う。→ぼけ2
(暈ける)物の色や輪郭、また、物事内容などがはっきりしない状態になる。ぼやける。「ピントが―・けている」「論点が―・ける」
[類語](1老いる老ける老い込む老け込む年老いる老いさらばえる老いぼれる老い早老老化老残老衰よぼよぼ恍惚ほうける/(3陰る曇る霞む掻き曇るぼやける掠れるぼんやり朦朧ぼうっとどろん不透明見えにくいほのかかすかほんのりうっすらおぼろげうすうす淡いよう杳杳ようようようとして暗い薄暗いほの暗い小暗い木暗い小暗がり真っ暗暗然冥冥ぼやっと不鮮明もやもやほの見えるしょぼつくしょぼしょぼ茫茫ぼうぼう不可視

ほう・ける【×惚ける/×耄ける/×呆ける】

[動カ下一][文]ほう・く[カ下二]
知覚のにぶった状態になる。ぼんやりする。ぼける。「起きぬけの―・けた顔」「病み―・ける」
(ふつう「蓬ける」と書く)草や髪の毛などが、ほつれ乱れる。けば立って乱れる。
「雨に―・けた雑草の中に」〈三重吉小鳥の巣〉
動詞の連用形に付いて、そのことに夢中になる意を表す。「遊び―・ける」
[類語](1老いる老ける老い込む老け込む年老いる老いさらばえる老いぼれる老い早老老化老残老衰よぼよぼ恍惚ける/(3浮かれるのぼせる喜ぶ浮き立つ

ほ・ける【×惚ける/×呆ける】

[動カ下一][文]ほ・く[カ下二]《「ほげる」とも》
ほう(惚)ける2」に同じ。「遊びに―・ける」
「かの中納言は―・けて、妻にのみ従ひて」〈落窪・三〉
ぼ(惚)ける2」に同じ。「夕もやに景色が―・けて見える」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「惚ける」の意味・読み・例文・類語

ほう・ける【惚・耄・蓬】

  1. 〘 自動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]ほう・く 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙
  2. 知覚がにぶくなる。ぼんやりする。ぼっとなる。ぼける。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
    1. [初出の実例]「いみじくほうけて、ものもおぼえぬやうにてありければ」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一四)
  3. 一つのことに夢中になる。のぼせる。
    1. [初出の実例]「博打の打ほうけてゐたるが見て」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一)
  4. ( 蓬 ) 草や毛髪などがほつれ乱れる。そそける。けばだつ。ぼぼける。
    1. [初出の実例]「髪をば早く結ふべし、ほふけたる体にて人々に見ゆる事、慮外」(出典:早雲寺殿廿一箇条(17C初)七条)

惚けるの補助注記

( 1 )「ほく(惚)」の変化した語とも、「ほほく」の変化した語ともいわれるが未詳
( 2 )の同義語に「ぼぼける」があり、この意だけは別語で歴史的かなづかいは「ほほける」だとする説もあるが明らかではない。


ほ・ける【惚・呆】

  1. 〘 自動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]ほ・く 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙 ( 「ほげる」とも )
  2. 知覚がにぶくなる。ぼんやりする。ほうける。ぼける。
    1. [初出の実例]「かの中納言はほけて、妻にのみ従ひて」(出典:落窪物語(10C後)三)
  3. 夢中になる。我を忘れる。惚れこむ。深く思いをかける。
    1. [初出の実例]「内の女房は片足みじかいげなが、五十両の敷金にほげて持て」(出典:浮世草子・傾城禁短気(1711)二)
  4. 古くなって色があせたり、けば立ったりしてくる。
    1. [初出の実例]「城内の菜畠ほける十夜哉」(出典:俳諧・文政句帖‐六年(1823)一〇月)
  5. 相場が立会前の人気に反して安くなる。また、やや上げ相場が下落気味になる。

ぼ・ける【惚・暈】

  1. 〘 自動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]ぼ・く 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙 ( 「ほける」から )
  2. 知覚がにぶくなる。ぼんやりする。ほうける。ほける。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
    1. [初出の実例]「老にぼけての戯れかは知らねど」(出典:当世商人気質(1886)〈饗庭篁村〉四)
  3. ( 暈 ) 色が薄れてはっきりしなくなる。また、物の輪郭や事実があいまいになる。ぼやける。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「昔の幼稚な写真術で撮ったのだから、一体に茶色にぼけて」(出典:思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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