海上における人命の安全のための国際条約(読み)かいじょうにおけるじんめいのあんぜんのためのこくさいじょうやく(その他表記)International Convention for the Safety of Life at Sea; SOLAS

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

海上における人命の安全のための国際条約
かいじょうにおけるじんめいのあんぜんのためのこくさいじょうやく
International Convention for the Safety of Life at Sea; SOLAS

船舶および乗員乗客の安全確保のための規定を定めた国際条約。1912年の豪華客船タイタニック号遭難事件を契機に,海上の人命安全のための国際協力が求められるようになり,1914年欧米主要国によって最初の条約が結ばれた。当初航行の安全,船舶の構造救命のための設備などのかぎられた内容であったが,1929年開催されたロンドン国際会議の場で国際的な基準として統一された。その後は原子力船の登場など造船技術の発展に応じて,1948,1960,1974年に改正が行なわれた。1958年に政府間海事協議機関国際海事機関)が発足してからは,同機関が条約の実施監督にあたっている。

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世界大百科事典(旧版)内の海上における人命の安全のための国際条約の言及

【海難】より

…ニューヨークへ向かう処女航海の途中,1912年4月14日深夜ニューファンドランド沖で氷山に衝突して,約3時間後に沈没,2201名の乗船者のうち1490名が死亡し,世界に衝撃を与えた。事件後の調査によって,救命設備の不備,無線の取扱いおよび救命艇の操作の習熟が不十分であったことが指摘され,この事故が契機となって,13年第1回国際海上人命安全会議がロンドンで開催され,29年に〈海上における人命の安全のための国際条約〉の締結となり,30年には〈国際満載喫水線条約〉が締結された。タイタニック号事件の前後にも,アメリカのゼネラル・スローカム号(1904年6月15日,ニューヨークで火災のために1030名死亡),カナダのエンプレス・オブ・アイルランド号(1914年5月29日,セント・ローレンス河口で石炭船と衝突して沈没し1012名死亡)の大規模海難があった。…

【タイタニック号】より

…同年,処女航海の途につくためサザンプトンを出港,ニューヨークに向かう途中,4月14日夜ニューファンドランド島沖(北緯41゜46′,西経50゜14′)で氷山に衝突して翌日沈没,1490名(1513名ともいわれている)の犠牲者を出した。この世界最大の海難事故に対し,イギリス政府は商船法に基づき海難審判委員会を発足,この委員会の報告書の内容は,29年に〈海上における人命の安全のための国際条約International Convention for the Safety of Life at Sea〉(〈海上人命安全条約〉〈SOLAS条約〉ともいう)という国際的な法律の中に生かされた。そのおもなものは,北大西洋における流氷の監視と通報,船舶の構造強化,復原性・水密区画・開口部に対する規制,救命および消火設備の充実,無線電信施設の充実,救難通信(SOS)の24時間聴取の義務づけなどで,その後もこの条約は改正されつつ現在に至っている。…

※「海上における人命の安全のための国際条約」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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