淑女は何を忘れたか(読み)しゅくじょはなにをわすれたか

改訂新版 世界大百科事典 「淑女は何を忘れたか」の意味・わかりやすい解説

淑女は何を忘れたか (しゅくじょはなにをわすれたか)

小津安二郎監督が《一人息子》(1936)に次ぐトーキー第2作として撮った風俗喜劇。1937年製作の松竹大船作品。下町の風俗描写を好んで描いていた小津が,山の手有閑階級の恋愛ゲームという軽い題材を扱い,会社から初めて一流スターの栗島すみ子を与えられて,彼女の扮する有閑マダムに小津映画の常連だった斎藤達雄をゴルフ好きの夫の役で配し,この倦怠期の夫婦が京都から遊びに来た姪のモダンガール(桑野通子)にふりまわされるというしゃれた〈ロマンティック〉な設定にした。脚本は伏見晁とジェームス・槙(小津を中心にした共同シナリオライターたちの合同ペンネーム)で,ハリウッドの艶笑喜劇(とくにエルンスト・ルビッチュの〈ソフィスティケーテッド〉な結婚・離婚喜劇)に対する小津の執着がうかがわれる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「淑女は何を忘れたか」の解説

淑女は何を忘れたか

1937年公開の日本映画。監督:小津安二郎、原作・脚本:伏見晁、ジェームス槇、撮影:茂原英朗。出演:斎藤達雄、栗島すみ子、桑野通子、佐野周二、上原謙ほか。コメディ

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