百科事典マイペディア 「深層大循環」の意味・わかりやすい解説 深層大循環【しんそうだいじゅんかん】 海洋の深層水にあると推定されている汎地球的な大循環。1957年に米国のH.ストンメルが深海における水温,溶存酸素,リンの深度分布,水槽実験などを参考にし,地球の自転を考慮に入れた流体力学的なモデルを提出。これによれば全海洋で大量の海水が沈降しているのはグリーンランド南方海域と南極のウェッデル海の2ヵ所だけで,他の海域での深層水は微弱な速度で上昇しており,その結果全海洋をめぐる循環が形成され,その速さは2000m以深の海水が約500年で入れ替わる程度とされていた。その後スワローのつり合いうきによる深層流速計の発明があって深層流の直接観測が可能となり,大西洋西部の南北アメリカ大陸の大陸棚に接する表面下1500〜4000mの深層を南下(湾流の下ではこれに逆行)する深層流の存在が発見され,ストンメルのモデルが次第に確かめられてきている。近年の観測では,深層における水平速度は毎秒約10〜20cm,表層に向かう上昇速度は平均1日1cmと報告されている。→関連項目海流|大洋大循環 出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報