南緯72°,西経45°付近に中心をもち,クイーン・モード・ランドのノルベジア岬Cape Norvegiaと南極半島との間を南極大陸に深く入り込んだ海域。南はほぼ南緯77°に達し,フィルヒナーFilchner氷棚,ロンネRonne氷棚に接する。1823年2月,イギリスの船長ウェッデルJames Weddell(1787-1834)がこの海域に侵入し,〈ジョージ4世海〉と命名したが,後年発見者の名を冠した。海域の大部分は周年海氷に覆われ,東部の沿岸に沿って夏季開水域が現れ,船はこれに沿って南下する。海域の南部から西部にかけて大陸棚が発達しており,中心部では水深4000m以上に達する。反時計回りの海流が存在し,南極半島沿いに海氷も沖合へ延びている。昔から南極点到達のための最短地として,船の進入があったところで,中には海氷とともに漂流した例もある。フィルヒナー氷棚の北端にアルゼンチン,東部のコーツ・ランドCoats Landにイギリスの越冬基地がある。
執筆者:楠 宏
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南緯72度、西経45度を中心として、西南極大陸へ入り込んでいる海域。1823年、イギリスのジェームズ・ウェッデルが発見し、ジョージ4世海と命名したが、のちに発見者の名をつけられた。密流氷が大部分を覆っており、内部への航海は困難である。
[楠 宏]
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