深良用水(読み)ふからようすい

日本歴史地名大系 「深良用水」の解説

深良用水
ふからようすい

江戸時代前期に開削された用水。相模国箱根芦はこねあしノ湖の湖水を全長一二八〇メートル余の隧道を掘抜いて導き、しん川を経由させて黄瀬きせ川に落す用水で、同川流域にあたる駿東すんとう郡南部二九ヵ村の耕地を灌漑した。一般には箱根用水とよばれ、箱根掘抜(掘貫)水ともいった。隧道上穴口は芦ノ湖湖尻こじり峠下のどめ(現神奈川県箱根町)に設けられ、湖尻峠の下をくぐって深良村熊洞の下穴口に至った。標高差九・八メートル、隧道の結合点には約一メートルの段差がある。これらの工事には戦国期以来の金掘衆とよばれる人々が動員されたものと考えられる。

隧道開削に尽力したのは地元深良村の名主大庭源之丞と元締の江戸浅草あさくさの町人友野与右衛門・長浜半兵衛・橋本山友らであった。彼らは寛文三年(一六六三)箱根権現(現箱根町箱根神社)に立願(箱根神社文書)、同六年四月には相模小田原藩、五月には幕府へ開発請負手形を提出して許可を受けている。工事は同年七月前後に始められ、同一〇年に隧道工事が、翌年四月頃に新川(隧道出口から黄瀬川合流点まで)普請が完成したと考えられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

事典・日本の観光資源 「深良用水」の解説

深良用水

(静岡県御殿場市・裾野市・駿東郡長泉町)
疏水百選指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「深良用水」の意味・わかりやすい解説

深良用水
ふからようすい

箱根用水」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の深良用水の言及

【箱根用水】より

…箱根の芦ノ湖の水を駿河国(静岡県)駿東郡に引水した灌漑用水。はじめ箱根掘貫,のちに深良(ふから)用水と呼ぶ。江戸町人友野与右衛門らが駿東郡深良村名主大庭源之丞とともに湖水を利用した新田開発を企て,1666年(寛文6)小田原藩と幕府の沼津代官所に出願,70年に完成した。…

※「深良用水」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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