温堰(読み)ぬるせぎ

日本歴史地名大系 「温堰」の解説

温堰
ぬるせぎ

[現在地名]三郷村

あずさ川を下荒井しもあらい(現梓川村)で揚水し、からもも北大妻きたおおづま野沢のざわ二木ふたつぎにれ住吉すみよしに至る。途中杏で長尾ながお堰を分流し、野沢小田多井こだたい堰を分流する。「二木家記」によれば、天文年代(一五三二―五五)に「ぬる水堰」といっている。野沢より下流あら堰といい、二木は当初は黒沢くろざわ川を用い、荒堰を開削して用水を補給したものと思われる。

野沢の務台久彦氏蔵文書によると、「往古温堰之儀、花見村下猿頭ヨリ大荒田堰巾六間ニ御掘立御座候処、宝暦年中満水之節ヨリ堰台欠落次第ニ相弘リ当時巾弐拾間余有之」とある。この往古というのは青木武雄氏蔵文書によると、「長尾(温堰)天正元酉年降旗大荒田場所見立被成」とあって甲州武田氏の支配した天正元年(一五七三)のことで、このとき温堰の取入口を梓川村花見降旗にしたのである。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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