温湯城跡(読み)ぬくゆじようあと

日本歴史地名大系 「温湯城跡」の解説

温湯城跡
ぬくゆじようあと

[現在地名]川本町川本 谷

矢谷やたに川と会下えげ川の合流点に位置する標高約二〇〇メートルの山上に築かれた中世の城。温井城・温井要害とも記され、河本城とも称されたようである。小笠原氏の本城で、のち毛利氏の手に移る。南北朝期の築城伝承はあるが、正確な築城年代は不明である。小笠原友之進家譜(閥閲録)の小笠原長氏の項に「石州温井城築」とみえ、小笠原弥右衛門家譜(同書)の小笠原長氏の項には「始而石州温湯之城を、此時宮将軍御取合有、将軍方として軍功有之」と記されるが、いずれも根拠不明である。ただし小笠原氏が河本郷の地頭として明確に現れるのは南北朝期であることから(建武四年七月二六日「小笠原貞宗代桑原家兼軍忠状」庵原家文書など)、築城をこの時期とすることも可能であろう。永和二年(一三七六)七月二四日の細川頼之感状(同文書)によると、「石州河本城衆」としての武田修理亮の軍忠が賞せられているが、河本城は当城のことと推定される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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