改訂新版 世界大百科事典 「測風器」の意味・わかりやすい解説
測風器 (そくふうき)
anemometer
一般には風速,風向,風圧などを測る器械の意であるが,気象観測などでは,それぞれ風速計,風向計,風圧計といい,測風器とはいわない。鉱山では坑内の通気測定に用いる風速計を測風器とよび,新鮮な空気が回っているかどうかを監視する。坑道の風量は風速と断面積とをかけて求められる。この風速を測定するのに測風器が用いられ,ふつうビラム形が広く用いられている。これは,軸のまわりにアルミニウムの翼板を備え,その回転数によって風の通過した距離の積算が中央の目盛板の指針で読みとられ,同時に測定時間を測り風速を計算するものである。坑内で通気量を求めるには,坑道断面積と平均風速を求めなければならない。風速は坑道断面内の各点において異なるので,断面を碁盤目に等分してその各区画の中心の風速を測り,それらを平均して平均風速とするか,測風器を手に持って断面内を等速で蛇動させ,その読みを時間で割って平均風速とする。ただし坑道壁面はなめらかでなく,また支柱が施されているので,定期的に測風する個所では坑道の周囲を板囲いすることが望ましい。本器で正確に測定できる範囲は毎分60~700m程度で,これにかからない微風速の場合は,電気による熱線形風速計(微風,低速用)やカタ温度計が用いられる。また最近,普通風速より高速までの測定用としてサーミスター風速計,フォトトランジスター風速計等も使用されている。
執筆者:大橋 脩作
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報