風向を測定する器械。風向とは風の吹いてくる方向のことである。たとえば南から北に向かって吹く風は南風といわれる。ヨーロッパでは家の屋根に装飾的な風向計,すなわち風見(風見鶏)をつける風習があった。気象観測器としては最も簡単なもので,普通に使われている風向計の感部は,鉛直に支えられた回転軸に20度の開きをもった2枚羽根とその反対側につりあいを取るためのおもりを取り付けたものである。この回転軸の回転角は伝達装置を通して遠方に伝達されて風向を指示または自記することができるようになっている。この2枚羽根の感部は風向の変化に敏感であるように思われていたが,これは2枚の羽根の間にできる空気の渦のために方向が不安定になるものを感度がよいと考えたものであることがわかり,使用されなくなった。以前には,風向計と風速計とはそれぞれ独立の器械として作られていたが,最近はこの両者を組み合わせた風向風速計が使用されるようになった。
最も広く使われているのは風車型風向風速計である(商標名エエロベーン,コーシンベーンなど)。これは飛行機の胴体と垂直尾翼とを思わせる部分の前端にプロペラに似ている風車を取り付け,この胴体を鉛直軸の回りに自由に回転できるようにしたものである。風向計の感部である垂直尾翼は,飛行機の翼型を使用していて風向の変化によく追従し,しかも安定である。
風向の変化はシンクロ装置によって遠方に伝達されて風向を指示し,または自記するようになっている。風速計の感部である風車の回転数は風の乱れによってほとんど影響を受けず,風速によく比例する。風車の回転軸に取り付けた発電機の起電力を電圧計に導いて,瞬間風速を指示または記録するようになっている。一定の回転数ごとに閉じる接点を取り付け,その回数から平均風速を求めるものもある。
執筆者:清水 逸郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
風向を測定する器械。いろいろな形のものがあり、吹き流しや西洋の風見鶏(かざみどり)もその一種である。従来、水平に長い二枚の板をV形に取り付けた矢羽根型がよく用いられていた。板を垂直にした、すきまのある矢羽根もある。近年は、飛行機の垂直尾翼に似た形で、風速計を兼ねたものがよく使用されている。セルシンモーターやスライド抵抗を利用して、遠隔式の指示あるいは記録ができる。風速が毎秒2メートル程度にならないと、正しい風向が示されない。微風の場合には、棒の先などにつけた軽いテープ、あるいはとくに弱い風まで測定できるようにくふうした風向計を用いる。
[篠原武次]
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