改訂新版 世界大百科事典 「湯野浜」の意味・わかりやすい解説
湯野浜[温泉] (ゆのはま)
山形県北西部,鶴岡市にある温泉。日本海に臨み,庄内砂丘の南縁に位置する。含塩化土類食塩泉,39~61℃。天喜年間(1053-58)に漁夫がカメの湯浴みをみて発見したと伝えられる。亀の湯とも呼ばれていたことがあり,亀を湯神としてまつる。古来東山温泉,上山温泉とともに奥羽三楽郷の一つといわれた歓楽境で,曹洞宗の大寺院善宝寺の参拝者の宿泊地として,また出羽三山参詣の基点としても知られた。付近一帯の海浜は遠く鳥海山を望み,県下の代表的海水浴場としてにぎわう。近くには善宝寺のほか,湯泉神社,加茂水族館,大山公園などがある。1929年以来鶴岡との間に電車が通じていたが75年に廃止され,現在はJR羽越本線鶴岡駅からバスが通じる。
執筆者:中川 重
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報