準静的変化(読み)じゅんせいてきへんか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「準静的変化」の意味・わかりやすい解説

準静的変化
じゅんせいてきへんか

可逆変化熱力学において重要な基礎的意義をもっている。しかし、厳密に可逆変化を実現することは不可能である。理想気体は厳密には実在しないものであるが、実在気体温度を上げるか圧力を下げるか、あるいはこの両方によって、実在気体をいくらでも理想気体に近づけることができる。

 実際に実現しうる変化であって、しかも必要に応じていくらでも可逆変化に近づけることができると考えられるものが、準静的変化または準静的過程である。これは、変化の道筋上の各点における変化の速さがきわめて小さいような変化のことである。変化の速さが非常に小さいと、道筋上の各点でほとんど熱平衡が成り立っていると考えられ、したがって、行きの道筋をそのまま一歩一歩戻って、初めの状態に帰ることができると考えられる。すなわち、準静的変化は、行った道をそのまま逆に帰る型の可逆過程にきわめて近いと考えることができる。必要に応じて変化の速さをますます小さくすれば、準静的変化を厳密な可逆過程にいくらでも近づけることができると考えられる。

[沢田正三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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