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可逆変化 かぎゃくへんかreversible change

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

可逆変化
かぎゃくへんか
reversible change

理想的な力学的変化は可逆変化であるが,通常は熱力学における可逆変化をさす。ある物質系状態Aから状態Bへ移るとき,通常は物質系以外のものにも変化が起るが,なんらかの過程を用いて再び状態Aへ戻したとき,外界になんの変化も残さずもとの状態にすることができる場合,状態Aから状態Bへの変化は可逆的であるといい,この過程を可逆過程という。可逆的でない変化を非可逆変化または不可逆変化という。熱力学では準静的な可逆変化がしばしば仮定される。実際の変化過程は摩擦熱伝導などを含んでおり,必ず非可逆的である。

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デジタル大辞泉の解説

かぎゃく‐へんか〔‐ヘンクワ〕【可逆変化】

物質が、ある状態から他の状態へ変化したとしても、再びもとの状態に戻ることができ、しかもこの間に外界に対して何の変化も残さないような変化。実際には存在しないが、理想的な極限を考える際に用いられる。

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百科事典マイペディアの解説

可逆変化【かぎゃくへんか】

熱力学でいう可逆変化とは,物質系の状態変化のうち,変化に関係したすべての部分(物質系とその外界)を完全にもとにもどすことが可能なものをいう。この場合,もときた経路を通って逆行可能という必要はなく,別の経路でも完全にもとにもどれればよい。
→関連項目時間(物理)

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世界大百科事典 第2版の解説

かぎゃくへんか【可逆変化 reversible change】

広い意味では,物質系の状態変化において,その過程を逆に戻すとき,同時に外界も元に戻りなんらの変化も残らないような過程をいう。この場合,途中の過程がちょうど同じ道筋で逆行可能となる必要はない。摩擦や抵抗を伴わない理想化された力学的変化は可逆変化であるが,現実の物質系に起こる変化では外界は完全に元の状態には戻らない。熱力学ではもっと狭く,外界に無限小の変化を与えるだけで同じ道筋を逆にたどれる過程を可逆過程といい,そのような変化を可逆変化と呼んでいる。

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大辞林 第三版の解説

かぎゃくへんか【可逆変化】

物質系の変化のうち、なんらかの方法によって、その系も外界も変化の前とまったく同じ状態に戻すことのできる変化。一般に、可逆変化は、理想化された条件の下でしか実現できず、現実の変化は不可逆変化である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

可逆変化
かぎゃくへんか

一つの物体(または物体系)が、一つの状態から他の状態へ変化するとき、物体、外部とも初めの状態へ戻る方法が少なくとも一つは存在するような変化のこと。可逆過程ともいう。において、座標軸x、yを水平面内に、座標軸zを鉛直(重力)方向にとる。空間内に2点P、Qをとり、この2点間を結ぶ任意の形の道筋l1、l2、……、ln、……を考える。一つの質点の位置が点Pから点Qまで変化すると、その変化がどの道筋によって行われても、質点が点Qにおいてもつ位置エネルギーが点Pにおけるよりもmh(mは質点の質量、は重力の定数、hはQのz座標とPのz座標との差)だけ大きい。逆に、この質点がQからPへ帰るとき、どの道筋を通って帰っても、位置エネルギーはmhだけ減少する。このことは、往路で質点を重力に逆らってPからQまで運んだもの(人力、機械など)が質点になした仕事(つまり位置エネルギーの増加分mh)は帰路において完全に回収されることを意味する。すなわち、質点の任意の道筋を通ってのPからQへの移動では、QからPへ任意の道筋を通って帰ることにより、質点自身が初めの状態に戻るだけでなく、質点の外部もまた初めとまったく同じ状態に戻ることができる。このような変化が可逆変化である。質点がPに戻ったとき、行きと戻りがどの道筋で行われても、外部もまた完全に元の状態に戻っている。しかし可逆変化の本来の定義では、「どの道筋ででも」の必要はなく、「少なくとも一つの道筋で」だけが必要である。とにかく物体、外部とも初めの状態に戻る方法が少なくとも一つあればよい。
 可逆でない変化を不可逆変化という。純粋な力学的現象は可逆的であり、同様に純粋な電気的、磁気的現象も可逆的である。しかし、実際におこる力学的、電気的、磁気的現象は、かならず大なり小なり熱の発生を伴う。ところで、熱力学第二法則は、現実的な熱の移動、発生はすべて不可逆であることを定めているから、結局、自然現象は厳密にはすべて不可逆であって、可逆変化は実際には存在しない。
 しかし、実在する気体の理想的な極限として理想気体(完全気体)を考えることによって、気体の本性を巨視的にも微視的にもよく理解できると同様に、実際におこる変化の理想的極限として可逆変化を考えることによって、自然現象の理解をより深めることができる。[沢田正三]

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