日本大百科全書(ニッポニカ) 「漁船保険」の意味・わかりやすい解説
漁船保険
ぎょせんほけん
漁船の海上危険による損害を填補(てんぽ)するための損害保険。1937年(昭和12)制定の漁船保険法により発足し、現在は52年(昭和27)に制定された漁船損害等補償法によって運営されており、同法に基づいて設立された漁船保険組合が保険を引き受け、政府がその再保険を行う仕組みになっている。漁船保険組合には、特定の漁業に従事する漁船だけを対象とする業態組合と、都道府県を区域とする地域組合とがある。漁船保険の種類には、普通保険と、戦争、変乱およびこれに準ずる事故による損害を填補する特殊保険の2種がある。普通保険には普通海上事故によって生ずる損害を填補する普通損害保険と、普通損害保険と代船建造資金積立てを兼ね、満期時に保険金を支払う満期保険とがあり、総トン数1000トン未満の漁船を対象とする。漁船保険組合が引き受けた保険は、自動的に政府の再保険引受けの対象となる。再保険料率は純保険料率とし、付加保険料は全額国庫負担となっている。
[金子卓治]