翻訳|reinsurance
保険会社がリスク分散を目的に他社と保険契約を結び、保険金支払いの一部を肩代わりしてもらう制度。巨大タンカーや化学工場などでの大規模事故や、地震や台風といった自然災害での巨額の保険金支払いを想定する。保険会社の保険のため、再保険と呼ばれる。規模の大きい契約では複数の会社が肩代わりしたり、再保険にさらに再保険をかけたりするケースもある。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
ある保険者が自己の引き受けた保険契約上の責任の一部または全部について,他の保険者に保険を付けること。はじめの保険者を元受保険者または出再保険者といい,後の保険者を再保険者または受再保険者と呼ぶ。たとえば,1億円の建物の火災保険を引き受けた元受保険者は,3000万円を自分で危険負担(保有)し,残りの7000万円を単数または複数の再保険者に再保険する。この場合,元受保険者は自分の受け取った保険料の中から再保険者の責任に応じた再保険料を支払い,再保険者から元受保険契約獲得に要した費用として再保険手数料を受け取る。再保険者はさらにこの責任の一部を再保険に出す場合があるが,これを再再保険という。再保険取引の効果を元受保険者の側から見ると,自己の責任を分散させ危険の平均化をはかることができるのに対し,再保険者の側から見ると,同質の危険をできるだけ多く集めて〈大数の法則〉がより有効に機能するために資することとなる。再保険は国内の保険者間だけでなく広く国際的に交換されており,ロンドンは再保険交換の世界的中心地となっている。歴史的には,1370年ころイタリアのジェノバからフランドルのスルイスに至る航海の海上保険についての再保険が最古のものといわれ,火災保険は18世紀末ころ,生命保険は19世紀の中ごろから再保険が始まったとされている。なお生命保険の再保険も再保険自体は損害保険の一種類である責任保険であるが,生命保険会社が生命保険の再保険を引き受けることは認められている。ただし損害保険において,特に巨額の危険を引き受ける場合には,再保険が前提となるほど再保険の重要性が高いのに比べると,生命保険における再保険の利用度は低いというのが実態である。
再保険の形態としては,任意再保険(個別再保険)と特約再保険に大別される。前者が,元受保険契約を引き受けるつど個別に再保険者と交渉して再保険契約の内容を決定するのに対して,後者は,あらかじめ再保険者と契約をし保険契約の種類等による一定の契約群を対象として,約定の条件に合致した引受けは一定の期間すべて自動的に再保険に出すしくみである。再保険は任意再保険から特約再保険へと発展し,現在では,再保険を必要とする巨額の引受けが多くなったことから特約再保険が大部分を占めている。もともと再保険取引は保険会社間の信用に基づいて行われるものであるが,近年事務コスト軽減の要請から,個別契約の明細を添付せずに非常に簡略化した報告書様式で特約再保険取引が行われており,信用度の重要性はますます高まっている。特約再保険をさらに分類すると,(1)元受保険の一定割合を再保険に出す比例再保険,(2)あらかじめ定めた元受保険者の保有額を超えた部分を再保険に出す超過額再保険,(3)一事故による保険金が一定額を超過した場合にその超過額を再保険者が元受保険者に支払う約定をする超過損害額再保険などに分かれる。
執筆者:高木 秀卓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ある保険者が引き受けた保険契約上の責任の一部または全部について、さらに他の保険者に保険を付すること。たとえば、10億円の契約を引き受けた場合、そのうち3億円は自分で保有し、残り7億円は他の保険者に再保険する。再保険を出す保険者を元受保険者または出(しゅつ)再保険者といい、再保険を引き受ける保険者は再保険者または受(うけ)再保険者という。再保険は、保険取引そのもののもつ特殊性に基づく危険分散の方法であるが、共同保険がいわば危険の横の分割であるのに対して、再保険は危険の縦の分割である。対加入者関係においては、共同保険ではすべての保険者が加入者に対して直接の関係にたつが、再保険は一保険者(元受保険者)だけが加入者と直接の関係にたち、他の保険者(再保険者)は背後に位置する。近年、生産力の発展による経済規模の拡大につれて、個々の元受保険契約の金額も巨額化してきた結果、元受のつど必要に応じて再保険に出す任意再保険は少なくなり、あらかじめ再保険者と契約しておいて、特定の条件に合致した引き受けは、すべて自動的に再保険に出す特約再保険によって危険の分散をするのが常態になっている。元受保険者がもっている出再保険特約は、実質的に元受能力の非常に大きな部分を形成していることになる。なお、生命保険では損害保険に比べて1件当りの保険金額が巨額に上ることが少ないため、再保険の利用度も損害保険に比べて一般的に少ない。
[金子卓治]
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