漉し油(読み)こしあぶら

精選版 日本国語大辞典 「漉し油」の意味・読み・例文・類語

こし‐あぶら【漉油・金漆樹】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ウコギ科の落葉高木。北海道から九州までの山地に生える。高さ一〇~一五メートル、径約六〇センチメートルに達する。幹は灰褐色。枝は灰白色。葉は長柄があり掌状複葉でふつう五枚の小葉からなる。各小葉は長さ一〇~二〇センチメートルの卵状長楕円形、先はとがり縁にふぞろいの鋸歯(きょし)がある。葉柄と葉の裏面には淡褐色の軟毛が生える。夏、枝先に大きな花序を出して小さな淡黄緑色の五弁花を多数つける。果実は径約五ミリメートルの扁球形で紫黒色に熟す。古くは樹脂液を漉(こ)して金漆(ごんぜつ)という塗料用の油とした。若葉は食用とされ、材からは、はし扇子、げたなどをつくる。あぶらぎ。ごんぜつ。〔名語記(1275)〕
  3. の実からとった樹脂液。奈良・平安時代には、木、革に塗ったり、鏃(やじり)の固めなどに用いた。きんしつ。ごんぜつ。こんしつ。
    1. [初出の実例]「凡中男一人輸作物〈略〉漆、金漆(こしあぶら)各一合五勺」(出典延喜式(927)二四)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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