翻訳|tide pool
タイドプールともいう。岩礁地帯の潮間帯において,干潮時に凹所に海水がとり残された場所。潮だまりは雨や太陽の直射など気象の影響を強く受けるため,塩分濃度・水温など水質が短時間できわめて激しく変化する。このため潮だまりにすむ生物は,この厳しい環境の変化に耐える性質をもつ必要がある。高い位置の潮だまりほど,海から隔離される時間が長い。大潮満潮時だけ海につながる潮だまりは,2週間もしくは1ヵ月以上も隔離されることになる。このためそこにすむ生物も,潮だまりの位置する高さによって種類が異なり,高い位置ほど耐性の強いものがすむ。
潮だまりは上述のように厳しい環境ではあるが,その反面乾燥に耐えなければならない潮間帯の生物に,好適なすみかを提供してもいる。潮だまりにも,ネクトン(遊泳生物),プランクトン(浮遊生物),ベントス(底生生物)という三つの生活様式をもつ生物がすむが,前2者は潮が引く時たまたまそこに居合わせたものである場合が多く,潮だまりを主なすみ場とするのはベントスである。
執筆者:向井 宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報