改訂新版 世界大百科事典 「火打」の意味・わかりやすい解説
火打 (ひうち)
燧とも書く。木造建築の小屋組みや床組みで,敷桁と梁,あるいは梁と胴差などからなる水平面の入隅部を斜めに結んで固め,風や地震などの水平力に対しての建物の変形を防ぐ短い部材。補強する部材に応じて火打梁とか火打土台ともいわれる。火打梁は敷桁または胴差と同寸または柱と同寸のものが用いられるが,L形鋼で代用されることもある。火打土台は基礎が弱い場合は土台と同寸の丸土台,コンクリートの布基礎のように強い場合は土台の二つ割の半土台ですませることが多い。火打には主材の上側に火打決り(ひうちじやくり)を彫って上からボルトで締める場合と,主材の側面に短枘(たんほぞ)を彫って横からボルトで締める場合とがあり,梁と桁や胴差の高さが不ぞろいな火打梁ではこの二つの仕口を組み合わせる。主材に対する火打の角度は45度が原則である。
執筆者:太田 邦夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報