木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造などの構造物を構成する柱、梁(はり)、筋かいなどの部材が接合される箇所または方法の一種。柱と梁、あるいは筋かいと柱や土台を継ぐ場合のように、部材をある角度をもって接合するときを仕口という。これに対して、2本以上の材を材軸方向に継ぎ、1本の材に接合するときを継手(つぎて)という。
仕口は、部材に生じている力が集中し、その大きさや方向を変えるところである。とくに、木造や鉄骨造のように、部材を組み立てる工法をとる場合には、構造上の弱点になりやすく、その安全性を検討する設計が重要になる。仕口は十分な強度と剛性をもち、がたや緩みを少なくして、構造物の骨組の変形に追随できる粘り強さをもたなければならない。
鉄筋コンクリート造の仕口は、鉄筋のコンクリートへの定着によって耐力を発揮する。鉄骨造では、ボルト、高力ボルト、溶接などの接合手段を用いて、ピン、ローラー、剛接合などの仕口が形成される。木造の場合、わが国においては古来より、巧妙な木の面の取り合わせによって、いろいろな仕口が形づくられ、深い軒の出を支えたり、風や地震によって生じる力を巧みに吸収、分散させたりしてきた。これには、材を交差させてあわせるだけの渡し掛(わたしがけ)仕口と、材を緊結できるように組み合わせてつくる組立て仕口がある。現在は、複雑な木組みを簡略化するかわりに、釘(くぎ)、ボルト、かすがいなどの金物によって仕口を補強する工法が、一般に用いられている。
なお、家具における接合技法の総称をさすこともある。
[鈴木 有]
『『建築学大辞典』(1976・彰国社)』▽『日本建築学会編『建築学便覧Ⅱ 構造』(1977・丸善)』▽『日本建築学会編著『構造用教材』(1985・丸善)』▽『飯塚五郎蔵著『住宅デザインと木構造』(1982・丸善)』
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…これは構造耐力のためばかりでなく,意匠上の配慮によるものでもある。一般に継手,仕口(しぐち)と総称されるが,継手が同じ部材を同一線上で接合するのに対し,仕口の方は,同じ部材または別の部材を直角あるいは斜めに組み合わせる組手や差口などのことである。なお,管や軸を接続する場合にも継手が用いられ,それぞれ管(くだ)継手,軸継手と呼ばれる。…
※「仕口」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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