日本料理に用いる調味料の一種。酒1.8リットルを沸かして4割に煮つめ、大きめの梅干し3個を加えてさっと煮て塩少々を加え、好みで砂糖少々を加える。古くから、なます、酢の物、刺身(さしみ)などに用いられてきた。1643年(寛永20)版の『料理物語』には、「いり酒は鰹(かつお)のけずったもの一升に梅干し十五~二十古酒二升水少々と溜(たま)り少々を入れ一升に煮詰め、こし、さましてよし」とあり、古い作り方がわかる。また1898年(明治31)版の『日本料理大全』には、刺身用の煎酒の作り方として、「梅肉にかつおぶし煮出汁などよき程に調合して鍋(なべ)にてよく煮立てて水のうでこし塩を加えてまた煮返して味を調えるなり」という説明がある。このように、煎酒の分量の配合については、時代により、用途により、著しく異なっている。
[多田鉄之助]
…鯉の料理としては,刺身,なます,汁,浜焼き,すし,こごり,小鳥焼き,煎鯉(いりごい)などが江戸初期の《料理物語》(1643)に見られる。刺身は,しょうゆが普及する以前は,酒と鰹節と梅干しでつくる煎酒(いりざけ)で食べた。車下の鯉はほかの鯉と違って,いくら食べても煎酒が濁らなかったという。…
…生の魚貝類などを薄く,あるいは小さく切り,しょうゆ,煎酒(いりざけ)などをつけて食べる料理。作り身,お作りなどともいい,日本料理を代表する品目である。…
…しょうゆは室町後期から姿を見せ,江戸時代に入って生産が本格化したが,このすぐれた万能的な調味料の登場によって,日本料理の調味の基本は決定的なものになった。みそでも,酢でも,酒に梅干しその他を加えた煎酒(いりざけ)のようなものを使っても,いま一歩という味覚が,しょうゆによって完成させられたのは刺身だけではなかった。煮物はもとより,ウナギの蒲焼やてんぷらにしても例外ではない。…
※「煎酒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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