煽つ(読み)アオツ

デジタル大辞泉 「煽つ」の意味・読み・例文・類語

あお・つ〔あふつ〕【×煽つ】

[動タ四]
あおいで風を起こす。
「大うちはで―・ちのけるがごとくで」〈狂言記粟田口
燃える気持ちをあおりたてる。そそのかす。
「きやつは定業ぢゃうごふが―・つ」〈虎明狂・鼻取相撲〉
風のために火や薄い物が揺れ動く。ばたばたする。
屏風をたたむ如くにて、二、三度四、五度―・つと見えしが」〈浄・源頼家源実朝鎌倉三代記

おだ・つ【×煽つ】

[動タ下二]おだてる」の文語形

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「煽つ」の意味・読み・例文・類語

あお・つあふつ【煽】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 タ行四段活用 〙
    1. あおいで風を起こす。
      1. [初出の実例]「あほつ如何 あなひろち(た)るの反」(出典:名語記(1275)八)
    2. 火などをあおいで、その勢いを盛んにする。
      1. [初出の実例]「ふすべよと言こそ遅けれ青松葉をたきて穴の中へあをち入るる」(出典:浮世草子・新御伽婢子(1683)二)
    3. 転じて、燃える気持などをあおり立てて、一層盛んにさせる。扇動する。
      1. [初出の実例]「きゃつはぢゃうごうがあおつ」(出典:虎明本狂言・鼻取相撲(室町末‐近世初))
    4. 両足で馬を蹴る。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 タ行四段活用 〙
    1. 風が吹き起こる。吹き舞う。また、風によって、物などが舞い上がる。
      1. [初出の実例]「あをつ火燵の灰煙、目口もくらみ気もくらみ」(出典:浄瑠璃・本朝三国志(1719)四)
    2. 風で、薄い物がばたばたと揺れ動く。また、風を起こすかのように、物がばたばたする。
      1. [初出の実例]「風にゆらゆらあふつ暖簾」(出典:雑俳・銀土器(1716‐36))
    3. 手足などをばたばた動かしてもだえる。また、じたばたする。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    4. あるものに熱中して、心がいらいらする。
      1. [初出の実例]「郭中にかよふ内より、彼を我物にせんとあをちて貨財を費し」(出典:評判記・色道大鏡(1678)一四)
    5. 鳥が翼で飛翔(ひしょう)する、羽ばたく(日葡辞書(1603‐04))。

おだ・つ【煽つ】

  1. 〘 他動詞 タ行下二段活用 〙おだてる(煽)

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