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鎌倉三代記 かまくらさんだいき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

鎌倉三代記
かまくらさんだいき

浄瑠璃。時代物。 (1) 紀海音作。5段。正徳6 (1716) 年正月大坂豊竹座初演といわれる。浮世草子『頼朝三代鎌倉記』 (同2) の影響下に成立。 (2) 双木 (なみき) 千竹,吉田鬼眼増補。 10段。安永 10 (1781) 年江戸肥前座初演。明和7 (1770) 年に大坂落城を扱う部分が当局を刺激して上演差止めとなった『太平頭鑿飾 (かぶとのかざり) 』の一部を改めた異本の一つとみられる。徳川と豊臣の対立というテーマを薄め,鎌倉時代に舞台を移して,北条時政の娘時姫と彼と対立する源頼家の家臣三浦之助義村が恋と忠義の板ばさみになって苦悩する姿を描く。7段目「絹川村閑居」は,悲痛な内容ながらはなやかな東風 (ひがしふう) の名曲として有名。 (1) (2) ともに,禁書や上演禁止の脅威にさらされながらも,徳川政権の成り立ち・宿命を鋭い歴史・政治感覚でとらえた作品群に数えられる。

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デジタル大辞泉の解説

かまくらさんだいき【鎌倉三代記】

浄瑠璃時代物。五段。紀海音(きのかいおん)作。享保3年(1718)大坂豊竹座初演。比企(ひき)判官一味の源頼家に対する謀反を題材としたもの。
浄瑠璃。時代物。十段。近松半二作と推定される。天明元年(1781)江戸肥前座初演。大坂夏の陣を鎌倉時代に仮託して脚色したもの。通称、鎌三(かまさん)。

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世界大百科事典 第2版の解説

かまくらさんだいき【鎌倉三代記】

人形浄瑠璃。同名の曲に2種ある。(1)時代物。5段。紀海音作。1716年(正徳6)1月推定,大坂豊竹座初演。絵尽しによれば豊竹上野少掾・竹本喜代太夫・竹沢権右衛門など出演。頼家を津山介十郎,若狭の前を藤井小三郎源頼家とその外戚比企能員(よしかず)の謀反を描く。能員は京の遊女2人を養い,1人を若狭の前として頼家の室とし,外戚の権力を振るう。あと1人の浅茅(あさぢ)が畠山重保と恋仲なのを利用して朝比奈三郎に嫁入させ,和田・畠山両家を不和にさせ将軍家を横領しようと計る。

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大辞林 第三版の解説

かまくらさんだいき【鎌倉三代記】

人形浄瑠璃の一。時代物。紀海音作。1718年初演。源頼家の外戚比企能員ひきよしかず一味の謀反を題材とした作。現在は上演されない。
人形浄瑠璃の一。時代物。作者未詳。1781年初演。通称「三代記」「鎌三」。大坂夏の陣を題材とし、世界を鎌倉時代に移して脚色したもの。近松半二作の「近江源氏先陣館やかた」の後編にあたる内容をもつ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

鎌倉三代記
かまくらさんだいき

浄瑠璃義太夫節(じょうるりぎだゆうぶし)。時代物。10段。近松半二作と推定。1781年(天明1)3月、江戸・肥前座初演。大坂夏の陣を鎌倉時代に仮託して脚色、作中の源頼家(よりいえ)が豊臣秀頼(とよとみひでより)、北条時政(ときまさ)が徳川家康、時姫が千姫、三浦之助が木村重成(しげなり)、佐々木高綱が真田幸村(さなだゆきむら)を暗示する。半二作『近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた)』の続編にあたる作で、通称「三代記」「鎌三(かまさん)」。七段目の「絹川村」(三浦別れの段)だけが後世に残り、歌舞伎(かぶき)でもよく上演される。源頼家と北条時政の合戦の最中、頼家方の三浦之助は、母が大病と聞いて戦場から絹川村の閑居に駆けつける。時政の娘時姫は三浦之助と恋仲なので、父に背いて看病にきている。三浦之助は時姫に時政を討てと命じ、姫は苦悩のすえに承知する。頼家方の軍師佐々木高綱は時政幕下の軍兵になりすまし、この閑居に忍んでいたが、姫の決心を知ると大いに喜び、三浦之助を励まして戦場に向かわせる。佐々木、三浦之助、時姫の3主役均等に見せ場があり、とくに恋のために父を討とうと決心する情熱的な時姫は「三姫」の一つとされる難役。
 なお、紀海音(きのかいおん)に、頼家の外戚(がいせき)比企(ひき)判官の謀反を描いた同題の浄瑠璃があり、1718年(享保3)正月、大坂・豊竹(とよたけ)座で初演されたが、上演は絶えている。[松井俊諭]

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世界大百科事典内の鎌倉三代記の言及

【大坂軍記物】より

…このような方法はもっぱら人形浄瑠璃において確立されたもので,1719年(享保4)1月大坂豊竹座の《義経新高館(よしつねしんたかだち)》以下,35年2月豊竹座の《南蛮鉄後藤目貫(なんばんてつごとうのめぬき)》,69年(明和6)12月大坂竹本座の《近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた)》,翌年5月竹本座の《太平頭鍪飾(たいへいかぶとのかざり)》,90年(寛政2)11月竹本座の《恋伝授文武陣立(こいのでんじゆぶんぶのじんだて)》,94年10月大坂北堀江市の側芝居の《日本賢女鑑(につポんけんじよかがみ)》,1800年12月大坂道頓堀東芝居の《鳰湖高名硯(におのうみこうみようすずり)》などが作られた。なお,そのうち,《南蛮鉄後藤目貫》と《太平頭鍪飾》とは幕府の忌諱に触れて興行禁止を命ぜられ,その正本も刊行されなかったが,のちに前者は1744年(延享1)3月江戸肥前座の《義経新含状(よしつねしんふくみじよう)》,54年(宝暦4)7月豊竹座の《義経腰越状》(以後も2度にわたる改訂あり)など,後者は81年(天明1)3月江戸肥前座の《鎌倉三代記》などに改作,上演されている。 一方,歌舞伎では,1720年大坂嵐三右衛門座(角の芝居)で前述の《義経新高館》が脚色されたことをはじめとして,おもに人形浄瑠璃からの改作物が行われていたが,ほかに72年(安永1)3月大坂市山助五郎座(中の芝居)の《近江源氏講釈(おうみげんじしかたこうしやく)》などの独自作もある。…

※「鎌倉三代記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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