…当初は,ドイツ民法学の影響の濃い精密な解釈法学を得意としたが(《債権各論》(1917)にうかがわれる),帰国後,学風の大転換を遂げ,日本社会に現実に行われている法を探究し,そこから〈あるべき法〉を築くことを主張して,当時の法律学界に大きな衝撃を与えた。この方法によって書かれた《物権法》(1921)は,日本の判例の分析に立脚した解釈論を提示するなど,民法学史上画期的業績とされる。また,同様の問題意識から,東京帝国大学法学部に民法判例研究会を組織し,判決にあらわれた事実との対応において判例理論を考察するという新たな方法による判例研究の創始者となった。…
※「物権法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」