目安(読み)メヤス

デジタル大辞泉 「目安」の意味・読み・例文・類語

め‐やす【目安】

目当て。目標。おおよその基準。また、おおよその見当。「60点を目安とする」「費用の目安を立てる」
そろばん掛け算割り算で、そろばん上の左のほうに置く乗数または除数
そろばんで、五玉ごだま小玉こだまとの仕切りのはりに記してある位取りの文字や印。
箇条書きにした文書。中世では、箇条を立てて書いた訴状と陳状。江戸時代ではもっぱら訴状のことをいう。目安書き。目安状
[類語](1見通し見当読み見込み見極め当て目処めど展望予測予想予期目標目星計算予定可能可能性有りポシブルポシビリティープロバビリティー将来性蓋然性公算成算心当て望み伸び代予見予知余地予断目算駄目で元元駄目元方向対象矛先当たり目当て目的標的狙いターゲット基準尺度物差しり所規準標準水準レベル定規本位大枠あらまし大筋大要枠組みアウトラインフレーム骨格大局大綱骨組み

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精選版 日本国語大辞典 「目安」の意味・読み・例文・類語

め‐やす【目安】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 ) 見た目に感じがよいこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「いとよう、住み馴れ給ひにたればめやすのわざやと、見たてまつるものから」(出典:源氏物語(1001‐14頃)早蕨)
  3. 文書を読みやすくするために箇条書にすること。また、その文書。目安書。目安状。
    1. [初出の実例]「武州為執権、殊被政道興行之志、而以明法道目安、自今朝毎旦一反可之云々」(出典:吾妻鏡‐元仁元年(1224)一二月二日)
  4. 鎌倉・室町および戦国時代、箇条を立てて書いた訴状と陳状。
    1. [初出の実例]「目安とは訴陳状内、肝要之段々、目安に書之」(出典:沙汰未練書(14C初))
  5. 江戸時代、訴状のこと。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「惣領、目安を認め所司代へ出にけり」(出典:咄本・醒睡笑(1628)四)
  6. 武士がそのたてた軍功を箇条書にして大将に報告した文書。
    1. [初出の実例]「右、致度々合戦上者、為御一見状、且目安如件」(出典:島津家文書‐建武四年(1337)八月三日・島津道意久長合戦手負注文)
  7. 目あて。目標。めじるし。基準。標準。
    1. [初出の実例]「音曲習道の目安として」(出典:五音(1434頃)上)
  8. 物をかぞえる時、心おぼえにつけるしるし。かずとり。
  9. 珠算で、掛けたり割ったりする時、そろばんの左方に置いておく乗数や除数。三を掛ける、六で割る、などという場合、左方に置いておく、三または六などの数。
  10. そろばんで、五玉(ごだま)小玉(こだま)との仕切りの梁(はり)にしるしてある位取りの文字やしるし。
    1. [初出の実例]「目安といふは、五玉と小玉のあひたにある目印なり。これには文・匁・両・石町などのちがひあり」(出典:仕方塵劫記‐目安の事(古事類苑・文学四一))
  11. (はかり)の竿などに書きしるしてある目盛。また、さいころの目。
    1. [初出の実例]「こっちの思ふ目安が出て、勝むくった盆の上」(出典:歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)(1789)三)

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改訂新版 世界大百科事典 「目安」の意味・わかりやすい解説

目安 (めやす)

中・近世における訴状の一種もしくは別称。〈目安〉とは目を安んずる,つまり読者にわかりやすい,という意味で,最初に〈目安〉〈目安言上〉などと書き出し,本文は〈一,……事〉という事書形式にし,最後に〈目安言上如件〉などと書き止める形式をとった。鎌倉時代後期から目安状の形をとる訴状が増加し,しだいに通常の訴状と混合し,やがては本文が事書形式でないものにも〈目安言上〉などの文言が用いられ,訴状の別称として用いられるに至る。ただし発生期の目安状と一般の訴状のちがいが,単にこうした形態的な相違だけであるかどうかは疑問の余地が大きく,提出される法廷や訴訟対象の差異,さらに訴訟手続上の段階の差などによって使いわけられた可能性がある。なお目安は裁判のみでなく,軍忠状など他の上申文書としても用いられた。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「目安」の解説

目安
めやす

文書の一分類。「目を安んずる」意からでた語とされる。本来要点を箇条書にするなどして文書をわかりやすくすることを「目安に書く」といい,そのようなかたちをとる文書,とくに訴陳状(そちんじょう)などの申状の類を目安状とよんだ。さらに,箇条書でなくても,要点を記した訴陳状一般をさすようになり,やがて訴陳状,とくに訴状をさすようになった。

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世界大百科事典(旧版)内の目安の言及

【裁判】より

…出入筋は原告(訴人)が他領他支配の者を被告(相手方)とする場合は原則として江戸の評定所に出訴しなければならない(支配違え懸る出入)。訴状(目安)には名主の印を要し,また支配違の場合は大名領については添使(そえづかい),旗本領については添簡(そえぶみ)が必要で,江戸において留守居(るすい)等の役人が付き添って裁判所に出頭した。訴状はまず法曹役人が書式,請求の実態を慎重に検討して修正を命じ,あるいは不受理とする(〈目安糺(ただし)〉)。…

【出入筋】より

…ただし,債権法,取引法と密接にかかわる金公事(金銀出入)については大坂町奉行所に広範な裁判管轄権が与えられており,江戸とは異なる債権保護的性格の強い法制を発達させたことが注目される。出入筋はまた〈目安懸(めやすがかり)〉ともいい,私人ないしそれに準ずる団体が訴状(目安)を裁判所に提出することによって開始されるもので,法廷(白洲(しらす))で原告(訴訟人,願人),被告(相手方)を対決させて判決を与える手続である。 裁判所はまず,訴訟人の提出した目安を審理し,訴を受理することの可否,受理する場合は本公事・金公事の別を決定する。…

【返答書】より

…江戸幕府の民事裁判手続(出入筋(でいりすじ))における被告(相手方)の答弁書。訴状(目安(めやす))に裁判所の裏書(目安裏書,目安裏判(うらはん))が与えられ,これが原告(訴訟人)の手によって相手方のもとに送達されると,相手方は目安の内容に対する反駁を書面に記して裁判所に提出しなければならない。この書面が返答書で,通常は〈差日(さしび)以前着届(ちやくとどけ)〉(出廷期日の前に出府,到着した旨の届出)の際に目安とともに提出する。…

※「目安」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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