…この神は,天孫降臨の際に一行を待ち伏せた異形の神を屈服させ,猨田彦大神(さるたひこのおおかみ)という名やその参上の由来を明らかにした。この功によりウズメの裔は猿女君(さるめのきみ)と称することになったという。猿女,猿楽の〈猿〉は〈戯(さ)る〉の意で,猿女という名も宮廷神事に滑稽なわざを演ずる俳優(わざおぎ)を意味した。…
…鎮魂祭に奉仕する,猿女と呼ばれる女性を貢進した古代氏族。天孫降臨に際し,その先導となった天鈿女命(あめのうずめのみこと)を祖と伝える。…
…さらに平安朝のものとはいえ,阿礼が天鈿女(あめのうずめ)命の後裔(こうえい)であるとする資料(《弘仁私記》序)も見逃せない。アメノウズメは,天の岩屋戸神話,天孫降臨神話などでシャーマン的な能力を発揮した女神で,猿女(さるめ)氏の祖である。猿女とは古くは原始的呪的伝統をひく〈をこ〉(滑稽)なる歌舞をもって宮廷神事に仕えた巫女で,アメノウズメの話はその職掌起源譚であった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」