猿隈(読み)サルグマ

デジタル大辞泉 「猿隈」の意味・読み・例文・類語

さる‐ぐま【猿×隈】

歌舞伎隈取りの一。猿の顔のように紅で額に横筋を3本入れ、目のまわりを彩るもの。「曽我の対面」の朝比奈などに使う。

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精選版 日本国語大辞典 「猿隈」の意味・読み・例文・類語

さる‐ぐま【猿隈】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「さるくま」とも ) 歌舞伎の隈取一つ。額に紅の横筋を三本入れた隈で、猿の顔からのくふうという。荒事立役に用い、初世中村伝九郎のくふうになる朝比奈隈、初世市川団十郎が弁慶に用いたという弁慶猿隈などがある。
    1. [初出の実例]「わけて三すじのさるぐまは一つ体花やかな仕出し」(出典:評判記・俳優風(1785)中)

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世界大百科事典(旧版)内の猿隈の言及

【隈取】より

…4・5世の団十郎に至り,役柄の範囲が広がるとともに,実悪(じつあく)系の凄みの隈も加えられた。隈取は取りかたと色彩とにより,約50種ほどに大別され,役々を類型化してとらえる思考によって,1種類の隈が諸種の役々に併用されるのがふつうで,〈猿隈〉が朝比奈役にのみ用いられるなどは,むしろ例外といえよう。また同一の役でも,たとえば《菅原伝授手習鑑》の梅王が〈車引の場〉と〈賀の祝の場〉とでは隈取に変化があり,《国性爺合戦》の和藤内は〈鴫蛤(しぎはまぐり)の場〉〈千里ヶ竹の場〉〈桜門の場〉までと,〈紅流しの場〉以降とでは,それぞれに用いる隈を変えるなど,人物の性格に即するというより,場面場面における役割を役柄とする思考がこうした変化を生むとみられよう。…

※「猿隈」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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