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隈取 くまどり

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

隈取
くまどり

歌舞伎の役のなかで,超人的力をもった英雄,荒神,悪鬼,化身などの演技 (荒事) をする者が施す特殊な化粧。怒りや闘争的心情をもつときに生じる顔面筋肉の緊張や隆起の状態を,視覚的に誇張して見せる化粧法。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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とっさの日本語便利帳の解説

隈取

歌舞伎の化粧法。正義や超人的な力を持った役柄を強調する時に使う。

出典|(株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」
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世界大百科事典 第2版の解説

くまどり【隈取】

歌舞伎の化粧法。江戸荒事劇にはじまり,時代物一般に用いられる。顔面筋肉を基調に各種地色へ紅,青黛(せいたい)などの油性顔料で片ぼかしに筋を描き,血気,怪異,姦佞(かんねい)など,役柄を誇張して表現する。荒事の英雄とこれに対する敵役や鬼畜・神仏の化身など,非写実的・ロマン的演劇が,隈取の発達の基礎をなした。元禄~正徳(1688‐1716)のころにはすでにその複雑多岐なパターンが成立していたとみられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

隈取
くまどり

歌舞伎(かぶき)の化粧法の一つ。顔面を紅(べに)、藍(あい)、代赭(たいしゃ)(茶墨)、墨などの線で彩り、表情を誇張するもの。単に「隈」ともいい、これを顔にかくことを「隈をとる」とよぶ。発生の年代は未詳であるが、元禄(げんろく)(1688~1704)ごろには存在し、初世市川団十郎が創始したという。力を誇張して表現する「荒事(あらごと)」の演出に伴って発達し、2世団十郎が白粉(おしろい)地に紅で隈をとり、ぼかしをつける技法をくふう、同年代の初世中村伝九郎や山中平九郎らによりその他の基本形がつくられた。
 発生には、能面など木彫りの仮面や仏像の怒りの相貌(そうぼう)の影響をあげる説が多く、中国古典劇の「臉譜(れんぷ)」にヒントを得たという説もある。しかし「隈」とは、奥まって隠れたところ、かげのあるところを意味するものであり、「隈取」とは顔面にかげをつけることでもあって顔面の骨格に沿って線を描き、ぼかしをつけて筋肉とかげを印象づけるものである。このように俳優の表情を生かしながら役の性格や感情を表現する点、仮面のような臉譜にはみられない特色である。
 種類は100に及ぶが、大別して陽性の正義、力、熱情などを表す紅隈系と、陰性の邪悪、怨霊(おんりょう)、鬼畜などを表す藍隈、代赭隈系に分けられる。前者にむきみ(『助六(すけろく)』『対面』の五郎)、一本隈(『国性爺(こくせんや)・楼門』の和藤内(わとうない)、『菅原・賀の祝』の梅王)、筋(すじ)隈(『暫(しばらく)』の主人公、『国性爺・紅流し』の和藤内、『車引(くるまびき)』の梅王)、猿隈(『対面』『草摺引(くさずりびき)』の朝比奈(あさひな))、火焔(かえん)隈(『千本桜・鳥居前』の忠信)など、後者に公家荒(くげあれ)隈(『暫(しばらく)』のウケ、『車引(くるまびき)』の時平(しへい))、般若(はんにゃ)隈(『道成寺』の蛇体)、鬼女隈(『紅葉狩(もみじがり)』『戻橋(もどりばし)』の鬼女)、土蜘蛛(つちぐも)隈(『土蜘(つちぐも)』の後ジテ)など、両者の混合したものに半(はん)隈(各種の景清(かげきよ))、鯰(なまず)隈(『暫』の鯰坊主)、蟹(かに)隈(『車引』の雑式(ぞうしき))、朝顔(あさがお)隈(『助六』の朝顔仙平(せんべい))などがある。なお、役によっては手足にも隈をとるが、今日では隈の模様を描いた肉襦袢(にくじゅばん)で代用することが多い。[松井俊諭]

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世界大百科事典内の隈取の言及

【歌舞伎】より


[扮装と舞台美術]
 化粧,衣裳,鬘は,様式と人物の役柄とによって,それぞれ定式になっている独自のものを用いる。荒事の〈隈(くま)〉(隈取)はそれを取る役の性格によって,色と形の基本に違いがある。正義と勇気を表すのが〈紅隈〉と呼ぶ赤い隈,超人的な悪を表現するのが〈藍隈〉である。…

【暈】より

…〈隈〉とも書かれる。東洋絵画の彩色技法の一つで,隈取,暈渲(うんせん)ともいう。色彩や墨を濃淡にぬりわけたり,ぼかしたりすることによって,対象の凹凸感や立体感をあらわす。…

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