玄能石(読み)げんのういし(その他表記)glendonite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「玄能石」の意味・わかりやすい解説

玄能石
げんのういし
glendonite

方解石仮晶。玄能(ハンマー)の頭のような形、すなわち扁平(へんぺい)で縁の部分が刃のように薄くなったほぼ菱(ひし)形の輪郭をもつ。あるいは方解石を膠結(こうけつ)物質(膠結作用の役割を果たした物質)とする砂質物質からなる集合物質をいう。膠結作用とは、砂粒の隙間に炭酸カルシウム溶液が入り込み、そこで炭酸カルシウムの鉱物である方解石の沈殿が起こり、全体が固化するという現象である。原鉱物はイカ石ikaite(Ca[CO3]・6H2O)とされ、少なくとも玄能石の一部はイカ石の合成物に形態的に相似する。この相は合成実験では、常圧で4℃~20℃の間で生成される。日本では新第三紀以降の堆積(たいせき)岩中に産し、長さ10センチメートルを超えるものがある。北海道、長野県、新潟県、福島県、東京都など中部日本以北に産地があり、西日本からはまだ発見されていない。ゲイリュサック石gaylussite(Na2Ca[CO32・5H2O)の仮晶といわれてきたが、この見解は否定されないものの、現在は一部のものについてはイカ石起源説が有力である。

加藤 昭 2016年8月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む