改訂新版 世界大百科事典 「玉泉山」の意味・わかりやすい解説
玉泉山 (ぎょくせんざん)
Yù quán shān
中国,北京市の西郊にある山。この山に湧きでる泉は澄明で,玉のごとしと称せられ,玉泉池,玉泉山の名称の由来となった。乾隆帝は〈天下第一泉〉と称賛した。頤和(いわ)園(万寿山)の昆明湖の水源となっており,それより下流は,元代には金水河と呼ばれ,北京城内に入って紫禁城の周囲をめぐる御河に注いでいた。金代から清代まで,北京への水運路であるとともに,北京の民間用水の源の一つでもあった。玉泉山には金代に行宮(あんぐう)が建てられ,元・明代には昭化寺,華厳寺が建立され,清の康煕年間(1662-1722)澄心園(のち静明園と改称)が作られるなど,帝王貴族の保養の勝地とされてきた。義和団と8ヵ国連合軍による混乱に際して荒廃したが,解放後修復された。
執筆者:河野 通博
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