日本大百科全書(ニッポニカ) 「現物給付型保険」の意味・わかりやすい解説
現物給付型保険
げんぶつきゅうふがたほけん
保険金ではなく、「葬儀」や「介護」などのサービスを受けられる民間の保険商品。これまで金融庁は、保険会社が契約者に給付できるものを保険金(現金)に限定し、介護サービスなどを直接提供することを禁じていたが、2014年から現物給付を認める方針を発表した。生命保険業界から「高齢者が自分のために加入する保険の品ぞろえを広げたい」という要望が強く、首相の諮問機関である金融審議会が容認する報告書をまとめたことにより、実現することになった。介護保険では、契約者が要介護認定を受けると訪問介護のサービスを受けたり、介護付き老人ホームに入居できるなどの商品が考えられる。生命保険の場合は、亡くなったときに、葬儀を執り行ってもらう商品なども考えられる。事業構造としては、保険会社が病院、福祉介護施設、葬儀などの事業者とあらかじめサービス利用契約を結ぶ。そのうえで、保険契約者がサービスを利用した際の料金を保険会社が事業者に支払う形になる。
保険金給付の場合、その金額が定められているため、価格変動のリスクは契約者が負うことになる。現物給付ならば、価格変動にかかわらず、そのサービスが受けられる。一方、長期契約となるために、契約時のサービスの履行、あるいはその質の維持が保たれるか、という懸念が生じる。
[編集部]