金融庁設置法に基づく機関。政府が金融制度に関する重要な政策を立案、決定する際に首相や金融担当相らから諮問を受け、専門家の見地から答申する。老後資金報告書は麻生太郎金融担当相の諮問を受けて策定したが、公的年金は「100年安心」としている政府の説明と矛盾するとの批判が強まり、麻生氏は「政府の政策スタンスと異なる」として受け取りを拒否した。
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金融制度、金融資本市場等に関する重要事項の企画・立案について横断的に調査審議することを目的に設置された、内閣総理大臣、金融庁長官および財務大臣の諮問機関。
[原 司郎・前田拓生]
金融審議会は、1998年(平成10)金融監督庁の発足とともに、これまでの金融制度調査会設置法による金融制度調査会、証券取引法に基づく証券取引審議会、および国家行政組織法に基づく大蔵省組織令で設けられた保険審議会が統合され、大蔵大臣の諮問機関として設置された。その後、2000年7月の金融庁の発足に伴い、金融再生委員会、金融庁長官および大蔵大臣の諮問機関となり、さらに2001年1月の中央省庁等再編に伴い、金利調整審議会、自動車損害賠償責任保険審議会、および公認会計士審査会の政策審議機能がそれぞれ統合されたことで、現在のような金融審議会として設立されることとなった。
[原 司郎・前田拓生]
審議会には、法令上設置されている金融分科会および金利調整分科会に加えて、初回総会(2001年1月29日)で了承された自動車損害賠償責任保険制度部会、公認会計士制度部会が設置されている。さらに、金融の基本問題に関するスタディ・グループが設置されている。このうち金融分科会には第1部会、第2部会および特別部会がある。第1部会では証券取引のグローバル化、情報化等に対応した市場インフラストラクチャー(基盤)取引の枠組・ルールの整備等について議論をし、第2部会では金融仲介機関のあり方に関する各種事項を、また、特別部会では金融分野における個人情報保護等のあり方についてそれぞれ審議されることになっている。
このような審議会の統合は、単に金融関連部局が統合したことによって、関連の審議会が統合したというものではない。金融を取り巻く環境変化に対応しようとするものである。1998年の金融システム改革法(金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律)の成立により、銀行や信用金庫の窓口で投資信託・保険商品が販売できるようになり、同年3月からは金融持株会社が解禁され、さらに4月からは外為(がいため)取引の完全自由化がスタートしたことにより、今後、広範囲の金融活動を行いうる条件が整い、また数多くの市場や国々のなかで競い合うという、真の意味でのグローバルな金融コングロマリット(複合企業)が出現する可能性が広がった。しかも、貯蓄者の家計部門におけるニーズ(要求)についても、ますます多様化し個性化することから、各金融機関はより以上の創意とくふうで経営上の個性を発揮すべく競争していくことになる。
このような状況において、業界の利害にとらわれた「業法」中心の金融制度では、対応が困難になることは必定である。そのため、証券会社の「業法」という位置づけであった証券取引法は、それを改正し、金融先物取引法などを統合することにより、金融商品取引法と改称された(2007年施行)。この法律によって「金融商品取引」(いわゆる「証券取引」)という行為自体を規制することになった。つまり、この法律によって金融取引ごとの「業態」という状態を維持するのではなく、「どのような取引(銀行取引や金融商品取引など)を行うか」はそれぞれの金融機関に選ばせる形にし、そのうえで銀行法や金融商品取引にのっとって、各金融機関が適正に金融に関する取引を行うことになっている。そういう意味で金融業界についても、各金融機関がそれぞれの創意とくふうで、経営上の個性を発揮すべく競争できるようになりつつあるといえる。しかし、保険業の取扱いや取引ルールにおける実務的な問題など、今後も検討していかなくてはならない課題があるので、金融審議会は、安定的で活力のある金融システムの構築および金融制度の改善にとって、きわめて重要な役割を担うことになる。
[原 司郎・前田拓生]
『原司郎著『テキストブック金融論』(1980・有斐閣)』▽『原司郎著『地域金融と制度改革』(1990・東洋経済新報社)』
働き手が自分の働きたい時間に合わせて短時間・単発の仕事に就くこと。「スポットワーク」とも呼ばれる。単発の仕事を請け負う働き方「ギグワーク」のうち、雇用契約を結んで働く形態を指す場合が多い。働き手と企...
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