日本大百科全書(ニッポニカ) 「球ギャップ」の意味・わかりやすい解説
球ギャップ
きゅうぎゃっぷ
sphere gap
高電圧の測定に使用される一対の球電極(球状の電極)のギャップ(間隔)をいう。銅(あるいは黄銅)の二つの球電極間に電圧を印加するとき、球電極の直径、そのギャップの長さ、および相対空気密度(20℃、1気圧の標準状態を基準としたときの空気密度の比)を一定にすると放電を開始する電圧(火花電圧)は、ほぼ一定となる。この性質を利用して、測定したい電圧を球ギャップに加えて、放電(正確には火花放電)を開始するときのギャップの長さを測ると、火花電圧を知ることができる。測定にあたっては、電極表面に存在する微小な突起、水分、ちりなどを取り去り安定な火花放電を得るために、予備放電を最初に何回か行う。ギャップの長さは球の直径の0.05~0.4倍の範囲内で使用することが望ましい。誤差は3~5%程度を考えておく必要がある。球ギャップによる電圧測定は、直流電圧、交流電圧のほか、雷インパルス電圧や開閉インパルス電圧に対しても広く使用されている。なお、測定法の詳細については、国際電気標準規格(IEC規格。IEC=国際電気標準会議が定めた国際規格)に詳しく記載されている。
[内田直之]