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黄銅 おうどうbrass

翻訳|brass

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

黄銅
おうどう
brass

銅 Cuと亜鉛 Znの合金真鍮 (しんちゅう) ともいう。普通黄のほかにも品種が多い (→特殊黄銅 ) 。普通黄銅にはα黄銅 (七三真鍮,Cu/Zn≒7/3 の意) とβ黄銅 (四六真鍮,Cu/Zn≒6/4 ) の2系統がある。α黄銅は均質な銅の1次固溶体合金で,色はやや赤みがある。常温でよく鍛造圧延できるが粘いので切削性は悪く,また冷間加工後放置すると大気中の微量のアンモニアに侵され時期割れを起す欠点がある。低温加熱で加工ひずみを除くかメッキ,塗装で保護するとよい。絞り性がよいので薬莢,電球口金など深絞り製品に使われ,カートリッジ (薬莢) 黄銅の異称がある。β黄銅は実際はα相と Cu対 Znがほぼ1対1のβ相の混合組織で,色は黄白色。β相が硬いため冷間加工はできないが,高温ではよく鍛造圧延に耐え,切削性はよい。しかし暖かい海水などの塩類溶液中では,亜鉛だけ溶け出してあとに海綿状の銅が残る特異な腐食があり,これをβ黄銅の脱亜鉛現象という。しかし大気中の耐食性はよいほうで,板,条,製紙用金網ロール,家庭用品,一般板金用に用途が広い。両種とも不純物の影響が小さいことはこの合金の特色で,JISでも不純物許容度は 0.8~3.0 %以上と大きい。 JISの C2600,C2700はα黄銅,C2800はβ黄銅に相当する。なお普通黄銅は鋳造性は悪く,鋳造用にはスズ,鉛その他の元素を添加する。

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デジタル大辞泉の解説

おう‐どう〔ワウ‐〕【黄銅】

銅と亜鉛との合金。黄色のものが多く、亜鉛の量が少ないと金色を呈する。金具・機械部品、金箔の代用などに使用。穴あきの5円硬貨の材料とする。真鍮(しんちゅう)

こう‐どう〔クワウ‐〕【黄銅】

真鍮(しんちゅう)」に同じ。

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百科事典マイペディアの解説

黄銅【おうどう】

シンチュウ(真鍮)とも。銅に亜鉛を加えた合金。代表的な銅合金の一つで,組成は種々。色は亜鉛量により赤黄色〜黄色。かたさ,強さ,展延性がよく,加工,鋳造に適する。

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世界大百科事典 第2版の解説

おうどう【黄銅 brass】

亜鉛Znをおもな合金元素とする銅合金で,銅合金の代表的なものの一つ。シンチュウ(真鍮)とも呼ばれる。Cu‐Zn合金のうち,Zn20%以下のものは丹銅といい,それ以上を黄銅という。Znの量が増すにつれて,銅赤色から黄色へと色が変わる。Cu‐Znの金属間化合物は,α相,β相,γ相などに区別されるが,Zn35%以下の黄銅はα相のみ,35~45%ではα相+β相,45%以上ではβ相となり,48%以上ではγ相も現れてくる。

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大辞林 第三版の解説

おうどう【黄銅】

銅と亜鉛との合金。黄色。加工しやすくさびないので工業材料などとして広く用いる。真鍮しんちゆう

こうどう【黄銅】

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

黄銅
おうどう
brass

亜鉛を銅に加えたものを基台とする銅合金。真鍮(しんちゅう)ともいう。青銅よりは出現が後れたが、これと並んでもっとも多い銅合金で、本来は銅‐亜鉛の二元合金。銅の中に亜鉛は約38%(重量%)固溶するので、ここまでのα(アルファ)相合金は優れた展延性があり、亜鉛量が増すとともに強さを増し、合金の色は銅の赤から黄色みを増していく。このため古くから成形加工性のよい強力銅合金として30%亜鉛のものが七三(しちさん)黄銅として利用され、また、これより亜鉛の少ないものは安価な金色合金として用いられた。固溶限を超えると硬いβ(ベータ)とよばれる体心立方晶の固溶体が混じってきて、亜鉛四十数%でβ1相になるので、βの混じった硬くて強い合金で、なおαが主体のために適度の加工性のある40%亜鉛の合金が四六(しろく)黄銅として、硬さや耐摩耗性の必要なところに使われた。この七三、四六に加えて近年は、弾性材料などに、αの固溶限いっぱいに亜鉛を加えた65/35のものが「ろくご・さんご合金」とよばれてつくられている。
 38%亜鉛以下の合金には相変化はないから、焼入れ、焼戻しのような熱処理はきかないが、亜鉛は4価で銅より価電子が相当多く、広いα相の合金は加工硬化が大きいので、冷間加工で強さを得ている。さらに黄銅は、普通には加工ひずみの回復がおこるだけの低温焼なまし中に若干硬化する。この硬化はある値で飽和して軟化には転じないし、この硬化により弾性的性質は向上し、黄銅の欠点である応力腐食がおこらなくなる。
 実用される黄銅には、金ボタン、仏具、金箔(きんぱく)代用に用いられる20%以下の亜鉛のもの、深絞りなどの強加工をして利用する前記七三、弾性材の65/35、強力材の四六の各種がある。8~20%亜鉛をトンバック、3~22%のものを丹銅、四六黄銅をムンツメタルという。
 亜鉛のほかに別元素を加えたものが特殊黄銅で、スズを加えたネーバル黄銅、アドミラルティ黄銅、マンガンを加えたマンガン青銅、ケイ素を加えたシルジン青銅、アルミニウムを加えたアルブラック、鉛を加えて快削性をもたせたハードブラスなど種々の実用合金がある。
 低温焼なましをしない黄銅は、加工や鋳造の残留引張り応力があると応力腐食をおこす。また熱処理中に蒸気圧の大きい亜鉛が部材表皮から抜ける脱亜鉛がおこるので防止策が必要である。[三島良續]

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世界大百科事典内の黄銅の言及

【亜鉛】より

…天然に遊離の状態では存在しないが,地殻中に広く分布し,また生体に必須の微量元素でもある。亜鉛が合金(黄銅)として使われたのは紀元前からであったが,単体として鉱石から分離して利用したのはインドが最初である。1380年代インド,ラージャスターン州のザワール鉱山ではレトルト蒸留法で亜鉛を作っていた。…

【金属工芸】より

…近世には銅と亜鉛の合金である真鍮(しんちゆう)が発明され,日本にも16世紀後半に輸入された。黄色を呈しているところから黄銅とも呼ばれて珍重され,やがて日本でも作られるようになった。このほか,日本独特の色金(いろがね)として,黒紫色を呈する赤銅(しやくどう)(銅にわずかに金を加えたもの),紫色を呈する紫金銅(しきんどう)(赤銅より多めに金を加えたもの),黒味銅(くろみどう)(銅に白目(しろめ)を加えたもの),銀灰色を呈する朧銀(ろうぎん)(銅3に対し銀1で四分一(しぶいち)ともいい,少量の金を加える場合もある),青金(あおきん)(金に銀を加えたもの)などがある。…

【銅】より

…英語名copper,ドイツ語名Kupfer,元素記号Cu等はこれに由来している。
[存在]
 銅の鉱物は種類が多いが,大部分は硫化鉱であり,そのうち主要鉱物は黄銅鉱CuFeS2(Cu34.6%)である。自然銅としてはアメリカのスペリオル湖畔などに産するが,あまり多くない。…

【銅合金】より

…また,銅は有色金属で,その色は合金によって変わる。純銅は独特な赤色を呈し〈あかがね〉とも呼ばれるが,亜鉛を加えると黄色へと変わる(黄銅など)。また,ニッケルを加えると銀白色となる(白銅など)。…

※「黄銅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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