翻訳|brass
5円硬貨の素材に使われている金属で、真ちゅうとも呼ばれる。亜鉛と銅の合金で、5円硬貨は銅60~70%、亜鉛30~40%の割合で作られている。亜鉛は比較的低温で蒸発し、精錬が難しく、日本では海外から合金技術が持ち込まれた江戸時代以降に、広く普及したと考えられている。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
亜鉛を銅に加えたものを基台とする銅合金。真鍮(しんちゅう)ともいう。青銅よりは出現が後れたが、これと並んでもっとも多い銅合金で、本来は銅‐亜鉛の二元合金。銅の中に亜鉛は約38%(重量%)固溶するので、ここまでのα(アルファ)相合金は優れた展延性があり、亜鉛量が増すとともに強さを増し、合金の色は銅の赤から黄色みを増していく。このため古くから成形加工性のよい強力銅合金として30%亜鉛のものが七三(しちさん)黄銅として利用され、また、これより亜鉛の少ないものは安価な金色合金として用いられた。固溶限を超えると硬いβ(ベータ)とよばれる体心立方晶の固溶体が混じってきて、亜鉛四十数%でβ1相になるので、βの混じった硬くて強い合金で、なおαが主体のために適度の加工性のある40%亜鉛の合金が四六(しろく)黄銅として、硬さや耐摩耗性の必要なところに使われた。この七三、四六に加えて近年は、弾性材料などに、αの固溶限いっぱいに亜鉛を加えた65/35のものが「ろくご・さんご合金」とよばれてつくられている。
38%亜鉛以下の合金には相変化はないから、焼入れ、焼戻しのような熱処理はきかないが、亜鉛は4価で銅より価電子が相当多く、広いα相の合金は加工硬化が大きいので、冷間加工で強さを得ている。さらに黄銅は、普通には加工ひずみの回復がおこるだけの低温焼なまし中に若干硬化する。この硬化はある値で飽和して軟化には転じないし、この硬化により弾性的性質は向上し、黄銅の欠点である応力腐食がおこらなくなる。
実用される黄銅には、金ボタン、仏具、金箔(きんぱく)代用に用いられる20%以下の亜鉛のもの、深絞りなどの強加工をして利用する前記七三、弾性材の65/35、強力材の四六の各種がある。8~20%亜鉛をトンバック、3~22%のものを丹銅、四六黄銅をムンツメタルという。
亜鉛のほかに別元素を加えたものが特殊黄銅で、スズを加えたネーバル黄銅、アドミラルティ黄銅、マンガンを加えたマンガン青銅、ケイ素を加えたシルジン青銅、アルミニウムを加えたアルブラック、鉛を加えて快削性をもたせたハードブラスなど種々の実用合金がある。
低温焼なましをしない黄銅は、加工や鋳造の残留引張り応力があると応力腐食をおこす。また熱処理中に蒸気圧の大きい亜鉛が部材表皮から抜ける脱亜鉛がおこるので防止策が必要である。
[三島良續]
Cu-Zn合金の総称.真ちゅうともいう.亜鉛含有量が5~40質量% まで種々の組成の合金があり,それぞれ名称および用途が異なる.
(1)95質量%Cu-5質量%Zn合金(gilding metal)は,純銅と同程度の軟らかさをもち,貨幣,メダルに利用される.
(2)90質量%Cu-10質量%Zn合金(丹銅,commercial bronze)は,色沢が青銅に似ており,絞り加工用に使われる.
(3)85質量%Cu-15質量%Zn合金(赤銅,red brass)は,軟らかく耐食性がよいので,建築金具,ソケット,ファスナーに使用される.
(4)80質量%Cu-20質量%Zn合金(low brass)は,装飾金具,楽器に用いられる.
(5)5~20質量%Znの低亜鉛黄銅は,以前はトンバック(Tombac)と総称されていた.いずれも強さは低いが展性,延性に富んでいる.
(6)70質量%Cu-30質量%Zn合金(七三黄銅,cartridge brass)は,深絞り加工用にもっとも広く用いられ,自動車用放熱器部品,ソケット,ファスナー,薬莢(きょう),日用品,装飾品に利用されている.
(7)65質量%Cu-35質量%Zn合金は,α単相合金としては亜鉛量がもっとも高く,七三黄銅と同様の用途に用いられる.
(8)60質量%Cu-40質量%Zn合金(四六黄銅,Muntz metal)は,組織が(α+β)相の2相合金で,常温では展性,延性は劣るが,強さは大きく,板,棒として利用され,ボルト,ナット,復水器,熱交換器,熱間鍛造品として広い用途がある.
これらのうち,七三黄銅と四六黄銅が代表的な実用黄銅合金である.またこれらの合金に,鉄,アルミニウム,マンガンを添加した高力黄銅(引張強さ45~75 kg mm-2,伸び12~35%,ブリネル硬さ110~170)がある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
亜鉛Znをおもな合金元素とする銅合金で,銅合金の代表的なものの一つ。シンチュウ(真鍮)とも呼ばれる。Cu-Zn合金のうち,Zn20%以下のものは丹銅といい,それ以上を黄銅という。Znの量が増すにつれて,銅赤色から黄色へと色が変わる。Cu-Znの金属間化合物は,α相,β相,γ相などに区別されるが,Zn35%以下の黄銅はα相のみ,35~45%ではα相+β相,45%以上ではβ相となり,48%以上ではγ相も現れてくる。Znの比率が高くなるにしたがい硬度も増すが,逆に加工しにくく,もろくなるので,Zn45%以上のものは実用にはならない。α相のみのものはα黄銅と呼ばれ,Zn30%の7-3黄銅とZn35%のものがよく使われる。適当な強度と展延性をもち,常温加工が可能の使いやすい合金であって,深絞り性がよいので,板を種々の形に成形加工して利用するなど用途が広い。α相とβ相が共存するα+β黄銅も似た特性があるが,硬くて強度が大きいけれども熱加工の必要がある。さらに鉛Pbを添加して切削性をよくした快削黄銅は,切削加工して利用する用途に広く使われている。そのほか,少量の添加元素を加えて性質を改善した特殊黄銅もある。
→銅合金
執筆者:大久保 忠恒
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…天然に遊離の状態では存在しないが,地殻中に広く分布し,また生体に必須の微量元素でもある。亜鉛が合金(黄銅)として使われたのは紀元前からであったが,単体として鉱石から分離して利用したのはインドが最初である。1380年代インド,ラージャスターン州のザワール鉱山ではレトルト蒸留法で亜鉛を作っていた。…
…近世には銅と亜鉛の合金である真鍮(しんちゆう)が発明され,日本にも16世紀後半に輸入された。黄色を呈しているところから黄銅とも呼ばれて珍重され,やがて日本でも作られるようになった。このほか,日本独特の色金(いろがね)として,黒紫色を呈する赤銅(しやくどう)(銅にわずかに金を加えたもの),紫色を呈する紫金銅(しきんどう)(赤銅より多めに金を加えたもの),黒味銅(くろみどう)(銅に白目(しろめ)を加えたもの),銀灰色を呈する朧銀(ろうぎん)(銅3に対し銀1で四分一(しぶいち)ともいい,少量の金を加える場合もある),青金(あおきん)(金に銀を加えたもの)などがある。…
…英語名copper,ドイツ語名Kupfer,元素記号Cu等はこれに由来している。
[存在]
銅の鉱物は種類が多いが,大部分は硫化鉱であり,そのうち主要鉱物は黄銅鉱CuFeS2(Cu34.6%)である。自然銅としてはアメリカのスペリオル湖畔などに産するが,あまり多くない。…
…また,銅は有色金属で,その色は合金によって変わる。純銅は独特な赤色を呈し〈あかがね〉とも呼ばれるが,亜鉛を加えると黄色へと変わる(黄銅など)。また,ニッケルを加えると銀白色となる(白銅など)。…
※「黄銅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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