さまざまな場所に存在する未利用のエネルギーを電力に変換する技術。広義には大規模な再生可能エネルギー関連の技術も含まれるが、通常は熱や光、振動、電波などといった、これまでほとんど顧みられることのなかった形態のエネルギーを電力に変換する技術をさす。エネルギーを集め、収穫する(ハーベストharvest)と解釈されることから、エネルギーハーベストやエネルギーハーベスティングともよばれる。
多くの製品に利用されているが、その初期の製品としては、20世紀初めにつくられた受信電波のエネルギーで作動してラジオ放送を無電源で聞くことのできる鉱石ラジオをあげることができる。その後、太陽電池を使った電卓や腕時計などが登場した。1980年代には、INAX(イナックス)(現、LIXIL(リクシル))が水洗トイレの水流で発電した電力を、人の手を検知して水を出すセンサーに活用する技術を開発し、特許を取得した。また、腕の動きで発電する腕時計や、スイッチを押す力で切替え信号を無線送信する無電源スイッチなども実用化されている。このような電子機器を作動させる環境発電の技術としては、おもに以下のようなものがある。(1)可視光や電波などの電磁波を利用する電磁波発電。(2)振動などの力学的エネルギーを利用した電磁誘導や圧電効果、静電誘導など。(3)熱エネルギー(温度差)を利用する熱電発電、熱磁気発電、熱電子発電、熱音響発電など。(4)その他(生体エネルギー発電、浸透圧発電など)。
NTTデータ経営研究所は2010年(平成22)にエネルギーハーベスティングコンソーシアムを設立し、パナソニックや日立製作所などの加盟企業とともに、センサーネットワークなどの環境発電開発に取り組んでいる。経済産業省の委員会が2015年4月にまとめた報告書では、環境発電などの無給電装置が技術開発課題として示された。また、同年5月に文部科学省が示した戦略目標の一つとしても、環境発電の基盤技術開発が選ばれている。
[編集部 2016年7月19日]
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