電卓(読み)デンタク(その他表記)electoronic calculator

デジタル大辞泉 「電卓」の意味・読み・例文・類語

でん‐たく【電卓】

《「電子式卓上計算機」の略》集積回路使い、四則計算などを行う小型の計算機

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共同通信ニュース用語解説 「電卓」の解説

電卓

「電子式卓上計算機」の略称で、2023年の国内向け出荷台数は330万台。電卓機能を備えたスマートフォンの普及を背景に9年連続で前年から減少した。23年の海外向け出荷台数は4325万台で、3年ぶりに前年を下回った。1960年代半ばから70年代にかけての「電卓戦争」では、国内50社超のメーカーが激しい開発競争を繰り広げた。

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精選版 日本国語大辞典 「電卓」の意味・読み・例文・類語

でん‐たく【電卓】

  1. 〘 名詞 〙でんししきたくじょうけいさんき(電子式卓上計算機)」の略。
    1. [初出の実例]「電卓の普及によって、珠算の特殊技能は消滅した」(出典:生きがいの周辺(1970)〈加藤秀俊〉仕事と人生)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「電卓」の意味・わかりやすい解説

電卓
でんたく
electoronic calculator

電子式卓上計算機の略で、小規模ながら記憶・演算・制御・入出力の各装置をもち、デジタル信号を取り扱い、四則演算およびその混合、応用計算を行う卓上型の計算装置をいう。

[佐々木正]

開発史

卓上型の計算機は機械式計算機(リレー式、手動式)が主流であったが、1964年(昭和39)2月早川電機工業(現シャープ)によってオールトランジスタ方式の電卓が世界で初めて商品化され、それに引き続き各社からも相次いで製品が発表された。当時はオールトランジスタ方式で部品点数は5000点にも及び、大型タイプライターなみの大きさと重量をもったオフィス用のものであった。

 以後、電卓は記憶・演算・制御に関しては半導体の革新技術が取り入れられ、現在では部品十数点、大きさも名刺程度という「軽・薄・短・小」化および低価格化が進み、個人用の時代を迎えている。またディスプレーについては、当初はニキシ管が使われたが、その後、蛍光表示管、液晶表示が用いられるようになった。このように電卓の開発史は半導体技術およびディスプレー技術の進歩の歴史といっても過言ではない。とくに、電卓の演算素子の半導体技術の変遷は、現在のIC産業を発展させた原動力となっており、MOS・ICの実用化には多大な影響を与えた。

 1967年にバイポーラIC約200個を用いた電卓が発売され、電卓のIC化が進められた。しかし、バイポーラICでは集積化および低消費電力が期待されないため、MOS・ICが注目された。そして、当時軍用として使われていたMOS・ICを電卓用ICとする開発が行われ、69年に4個のMOS・LSIによる電卓が発売された。その後、70年に2個のLSI、そして72年には電卓用LSIのワンチップ化が実現した。このワンチップ電卓を開発する途中でワンチップ電卓を3分割するという発想から、CPU(中央処理装置)、ROM(ロム)(読み出し専用メモリー)、RAM(ラム)(読み出し・書き込み可能メモリー)と分けてLSIのハードウェアを固定化し、ソフトウェアだけで電卓を開発するというアイデアが日本から提示された。それをアメリカのインテル社がマイクロプロセッサーとして発表し、これが現在のマイクロコンピュータのはしりになった。これ以後、マイクロコンピュータのプログラムを変更することにより、汎用(はんよう)性のあるソフトウェア指向の電卓の開発が可能となり、高機能な電卓が開発された。

 一方、ディスプレー技術においても、飛躍的な発展があった。当初、冷陰極放電管であるニキシ管が採用されていた。バローズ社が特許を所有していたニキシ管は、消費電力が大きいなどの問題があり、パーソナル電卓の開発においては致命的であった。その後、低消費電力の蛍光表示管が日本で開発され、また発光ダイオードなどの自己発光素子も使用されるようになった。しかし、小型で長時間使用可能なパーソナル電卓を実現するためには、低消費電力化が重要であり、半導体素子CMOS(相補型)を使い、ディスプレーには受光タイプの表示素子である液晶が実用化された。また、単に数字を表示するだけでなく、文字などを表示するためにドットマトリックスタイプの液晶が79年に開発された。その後、低消費電力化はますます進み、現在は太陽電池駆動の電卓が主流になっている。

[佐々木正]

原理・構造

電卓の原理はほぼ大型コンピュータと同じであるが、機能の面で専用化されており、専用ワンチップLSIの中に演算部であるCPUと、演算順序をあらかじめプログラムされたROMと、データメモリーのRAM、およびキー入力とディスプレーなどの出力を接続するインターフェースから構成される。

 電卓の場合の小数点処理方式としては、おもに浮動小数点方式が使われている。この方式は、小数点以下の桁(けた)数をその計算機の許す範囲内でできるだけ多く求める方式である。

 過去、電卓において培われた技術は、時計付き電卓をはじめ、音声合成技術を利用した音声電卓などの複合商品を生み出し、さらにはポケットコンピュータ、電子翻訳機(電訳機)といった商品を開拓してきた。今後も薄型カード電卓の超薄型高密度実装技術などを活用して、新しいタイプの電卓が開発されるものと思われる。

[佐々木正]


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改訂新版 世界大百科事典 「電卓」の意味・わかりやすい解説

電卓 (でんたく)

一般に加減乗除の四則演算を中心に,比較的簡単な計算を,内蔵する演算素子,演算回路で行う機能をもったハンディな計算機。かつては電子式卓上計算機electronic calculatorと呼称したが,1979年にJIS B 0117で正式に電卓となった。計算過程や結果をロールペーパーに印字できる記録式と表示式があり,記録式はおもに金融機関など計算業務の激しい職場で利用している。表示式の卓上型も同様に計算業務を専業とする人が利用している。表示式ハンディタイプ,パーソナル用は,そろばんの代用として広く一般に利用されている。計算処理の内容から商業計算,関数計算,プログラム計算,専用業務計算などの電卓があり,とくに商業計算用電卓は,メモリー,定数,パーセント,ルートなどの機能を具備し最も多く普及している。

 1962年イギリスのサムロック・コンプトメーター社がアニタ(ANiTA)という電卓を開発,日本では64年に第1号機が開発されている。当時の演算素子には真空管,のちにトランジスターやダイオードを使用し,大きさはテレビなみで価格も当時で40万円前後していた。その後,演算素子はIC,LSIへと進み,軽量・小型・低価格・高性能を実現させた。とくに72年には1万円台の電卓が開発され話題となった。翌73年には1万円以下となり,以来,今日に至っている。その間,技術系の関数電卓は計算尺,手回し計算器を完全に凌駕(りようが)し,技術計算の主流にのしあがった。また商業計算用のハンディタイプ,パーソナル電卓も,そろばんの苦手な人たちに広く利用されるようになった。各種国家試験,検定試験にも電卓の利用が認められ,今後は教育的利用の拡大も併せてますます利用を広げていくものと思われる。
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百科事典マイペディア 「電卓」の意味・わかりやすい解説

電卓【でんたく】

加減乗除の四則演算を中心とする比較的簡単な計算を,内蔵する演算素子・演算回路で行う機能をもったハンディな計算機。1962年英国のサムロック・コンプトメーター社がアニタという機種を開発,日本は1964年に第1号機を開発。当初は電子式卓上計算機とよばれたが,1979年にJISB0117で正式に電卓となり,世界的に〈デンタク〉で通用している。電卓には,計算過程や結果をロールペーパーに印字できる記録式と液晶などによる表示式とがあるが,とくに表示式ハンディタイプ,パーソナル用は,そろばんの代用として広く一般に利用されている。このような電卓の普及は半導体技術の進歩と素子のIC・LSI化に負うところが大きいが,他方こうした電卓のLSI化への志向は,今日のマイクロプロセッサーを生み出す大きな原動力ともなった。
→関連項目カシオ計算機[株]計算機卓上計算機

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「電卓」の解説

電卓

Windowsに付属する、アプリケーションのひとつ。ウィンドウは電卓を模したものになっており、テンキーから数値を入力できる。MacOSには、同様なものが「計算機」として付属している。Windowsの電卓は、関数電卓として統計計算にも使用できる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「電卓」の意味・わかりやすい解説

電卓
でんたく

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