金属の表面を真っ赤に加熱すると熱電子が放出される現象を利用して、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電方式。真空または低圧力ガス中に陰極(エミッタ)と陽極(コレクタ)の電極を一定の距離を隔てて配置し陰極を加熱すると、陰極のなかに存在する自由電子のうち、十分に大きなエネルギーをもった電子が束縛に打ち勝って金属の外に飛び出す(熱電子放出)。この放出された熱電子は、低温になっている陽極に飛び込んで集められ、電位差が生じる。陽極と陰極間に接続された外部負荷に電流が流れエネルギーを供給し、ふたたび陰極に戻る。熱電子発電は、MHD発電(磁気流体発電)や熱電発電と同じように、電子の加熱によって直接電気を発生するという意味で一種の直接発電方式といえる。陰極と陽極間の封入物質によって、真空形とプラズマ形の二つがある。熱電子発電器の構造は、高温の熱源で加熱されて熱電子を放出する電極(エミッタ)と、熱電子を捕集する低温の電極(コレクタ)とを、0.5ミリメートル以下に接近させ、対向配置しておくものである。その空間に空間電荷を中和するセシウム蒸気で満たしたセシウムリザーバーを設けている。熱電子発電の用途としては、太陽熱および原子炉を熱源とした海洋、極地、宇宙における人工衛星用の電源などとして有望である。
[道上 勉・嶋田隆一]
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…ところが,直接発電においては高温作動流体と接触する可動部分が存在せず,この材料問題が存在しないため,より高温の作動温度を設定でき,その結果熱効率の改善が実現されうるのである。 このような目的で研究されている方式としてはMHD発電のほか,EHD発電(電気流体発電),熱電子発電などがある。ここでEHD発電とは,高温高速の燃焼気体に電荷を与え,それを流れ方向に設置された正負電極の間に通して静電的に発電を行わそうとするもので,electrohydrodynamic generatorの意味である。…
※「熱電子発電」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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