環状肉芽腫
かんじょうにくげしゅ
Granuloma annulare
(皮膚の病気)
真皮のコラーゲンの変性(組織が壊れる)とムチン沈着、それを取り巻く炎症性肉芽腫です。症状によって、限局型、汎発型をはじめ、多くの種類があります。
外傷(ツベルクリン反応、帯状疱疹の瘢痕など)、虫さされ、紫外線、金製剤、糖尿病などが原因です。
限局型は平滑で、通常の色から淡紅色の硬い小丘疹で始まり、遠心状に拡大します。中心は陥没し、1~5㎝大の環状堤防状隆起になります。手背、腕関節に数個発生し、ほかの症状がないのが特徴です。
汎発型は体幹、四肢末端に左右対称に、斑状の局面、丘疹、結節が急速に現れ、環状配列を示す部分もみられます。ほかに穿孔型、中心臍窩をもつ丘疹型、紅斑型、結節型、線条型、潰瘍型、皮下型(小児に多く、頭部、手のひら、下肢、また関節など骨突起部に好発)などさまざまです。
組織検査では、膠原線維変性、ムチン沈着、一部線維化があり、周囲をリンパ球、組織球が取り囲む像になります。汎発型は、糖尿病合併があるので、その検索が重要です。区別すべき疾患として脂肪類壊死症、リウマチ結節、サルコイドーシス、扁平苔癬があります。
生検などの外的侵襲により自然に消退することもあります。2年以内に多くの例が消退します。しかし汎発型では10年以上続くこともまれではありません。全般的に治りにくい病気です。
皮膚科を受診します。
宇谷 厚志
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
Sponserd by 
家庭医学館
「環状肉芽腫」の解説
かんじょうにくげしゅ【環状肉芽腫 Granuloma Annulare】
[どんな病気か]
直径1~2cm大の環状(ドーナツ型)のぶつぶつした皮疹(ひしん)が現われます。色は正常な皮膚色で、かゆみなどの自覚症状はありません。指や手背(しゅはい)・足背(そくはい)(足の甲(こう))の関節部によくできます。
[原因]
不明のことが多いのですが、糖尿病の皮膚症状としておこることもあります。子どもの場合は必要ありませんが、おとなの場合は糖尿病の検査をしたほうがよいでしょう。
[検査と診断]
皮膚の生検(せいけん)と病理検査が必要です。ほかの似た肉芽腫と鑑別するためです。
[治療]
肉芽腫そのものは治療する必要はなく、放置しておいても数年で消えてしまいます。ただし、糖尿病の検査を欠かさないことがたいせつです。
出典 小学館家庭医学館について 情報
Sponserd by 