環状肉芽腫(読み)かんじょうにくげしゅ(英語表記)Granuloma annulare

六訂版 家庭医学大全科 「環状肉芽腫」の解説

環状肉芽腫
かんじょうにくげしゅ
Granuloma annulare
(皮膚の病気)

どんな病気か

 真皮のコラーゲンの変性(組織が壊れる)とムチン沈着、それを取り巻く炎症性肉芽腫(えんしょうせいにくげしゅ)です。症状によって、限局型、汎発型(はんぱつがた)をはじめ、多くの種類があります。

原因は何か

 外傷ツベルクリン反応帯状疱疹(たいじょうほうしん)瘢痕(はんこん)など)、虫さされ、紫外線、金製剤、糖尿病などが原因です。

症状の現れ方

 限局型は平滑で、通常の色から淡紅色の硬い小丘疹(しょうきゅうしん)で始まり、遠心状に拡大します。中心は陥没し、1~5㎝大の環状堤防状隆起になります。手背、腕関節に数個発生し、ほかの症状がないのが特徴です。

 汎発型は体幹、四肢末端に左右対称に、斑状の局面丘疹、結節が急速に現れ、環状配列を示す部分もみられます。ほかに穿孔(せんこう)型、中心臍窩(ちゅうしんさいか)をもつ丘疹型、紅斑型、結節型、線条型、潰瘍型、皮下型(小児に多く、頭部、手のひら、下肢、また関節など骨突起部に好発)などさまざまです。

検査と診断

 組織検査では、膠原(こうげん)線維変性、ムチン沈着、一部線維化があり、周囲をリンパ球、組織球が取り囲む像になります。汎発型は、糖尿病合併があるので、その検索が重要です。区別すべき疾患として脂肪類壊死症(しぼうるいえししょう)リウマチ結節サルコイドーシス扁平苔癬(へんぺいたいせん)があります。

治療の方法

 生検などの外的侵襲により自然に消退することもあります。2年以内に多くの例が消退します。しかし汎発型では10年以上続くこともまれではありません。全般的に治りにくい病気です。

病気に気づいたらどうする

 皮膚科を受診します。

宇谷 厚志

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「環状肉芽腫」の解説

かんじょうにくげしゅ【環状肉芽腫 Granuloma Annulare】

[どんな病気か]
 直径1~2cm大の環状(ドーナツ型)のぶつぶつした皮疹ひしん)が現われます。色は正常な皮膚色で、かゆみなどの自覚症状はありません。指や手背(しゅはい)・足背(そくはい)(足の甲(こう))の関節部によくできます。
[原因]
 不明のことが多いのですが、糖尿病の皮膚症状としておこることもあります。子どもの場合は必要ありませんが、おとなの場合は糖尿病の検査をしたほうがよいでしょう。
[検査と診断]
 皮膚の生検(せいけん)と病理検査が必要です。ほかの似た肉芽腫と鑑別するためです。
[治療]
 肉芽腫そのものは治療する必要はなく、放置しておいても数年で消えてしまいます。ただし、糖尿病の検査を欠かさないことがたいせつです。

出典 小学館家庭医学館について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android