日本大百科全書(ニッポニカ) 「ショウキズイセン」の意味・わかりやすい解説
ショウキズイセン
しょうきずいせん / 鍾馗水仙
[学] Lycoris traubii Hayward
ヒガンバナ科(APG分類:ヒガンバナ科)の多年草。本種のほか、キツネノカミソリやシロバナマンシュシャゲ(シロバナヒガンバナ)などはリコリスと称し、栽培される。ショウキランともいうが、腐生ランの1種に同じ名のものがある。鱗茎(りんけい)は卵球形で径5~6センチメートル、黒褐色の外皮がある。葉は線形で長さ30~60センチメートル、幅2~2.5センチメートル、花茎が枯れたあと晩秋に出て越冬し翌年の夏には枯れる。9~10月、高さ50~60センチメートルの花茎を出し、横向きに咲く鮮黄色の花を5~10個散形状につける。花被片(かひへん)は倒披針(とうひしん)形で長さ6~7センチメートル、縁(へり)は大きく波打ち、基部に鱗片状の副花冠がある。雄しべ、雌しべともに花被片より長く、上向きの弓状に曲がる。体細胞染色体数は12、13、14のものが知られているが、14のものだけが結実し、蒴果(さくか)をつくる。種子は球形、黒色で光沢がある。四国から沖縄、および中国大陸南部、台湾に分布する。シロバナヒガンバナやキツネノカミソリとの雑種も知られている。
[清水建美 2019年1月21日]