甚六(読み)ジンロク

デジタル大辞泉 「甚六」の意味・読み・例文・類語

じんろく【甚六】

次子以下に比べて、のんびりとしてお人よしな長男多少のあざけりの気持ちをこめていう語。多く総領そうりょうの甚六」の形で用いられる。
お人よし。おろかもの。

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精選版 日本国語大辞典 「甚六」の意味・読み・例文・類語

じんろく【甚六】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 総領息子。長男。少しぼんやりなのをあざけっていう語。多く「総領の甚六」の形で用いる。
    1. [初出の実例]「ひとりむす子の甚六」(出典:仮名草子・このごろ草(1682))
  3. お人好し。ぼんやり。愚か者。
    1. [初出の実例]「空耳歟甚六男杜鵑〈秀序〉」(出典:俳諧・葛藤(1768)上)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「甚六」の意味・わかりやすい解説

甚六
じんろく

総領息子の通称。順禄(じゅんろく)(世襲制度により順を追って家禄を相続すること)の転訛(てんか)といわれる。一般に「総領の甚六」といい、長男や長女がだいじにされてのんびりと育てられ、これといった才能もなく、また努力もしないで家禄を相続できたため、他の兄弟姉妹に比べてうすぼんやりしているさまをあざけっていった。転じて、うすぼんやりした人やお人よし、愚か者をいう。

[宇田敏彦]

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