デジタル大辞泉
「総領」の意味・読み・例文・類語
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そう‐りょう‥リャウ【総領・惣領・宗領】
- 〘 名詞 〙
- ① 令制以前の官で、地方支配上重要な国におかれ、近隣の数か国の政務を監督したもの。すべおさ。すぶるおさ。
- [初出の実例]「以二直大壱石上朝臣麻呂一。為二筑紫領一」(出典:続日本紀‐文武四年(700)一〇月己未)
- ② ( ━する ) すべてを支配すること。全所領を領有すること。
- [初出の実例]「惣領走二京都一、予前顔色喜」(出典:菅家後集(903頃)哭奥州藤使君)
- 「鴨居殿の代々の日記宝物、東三条の御所にいたるまで総領して」(出典:愚管抄(1220)五)
- [その他の文献]〔漢書‐魏相伝〕
- ③ 一つの血族・集団・領域などの源となるもの。また、その長となる者。
- [初出の実例]「此の詩は許の国の穆夫人の吾が宗(ソウ)領の衛の国の吾が女房の身で他国によめって衛をすくうことならぬをかなしんでつくられたぞ」(出典:玉塵抄(1563)八)
- ④ 中世、武士の族的結合関係で最上位にある者。多くの場合嫡家(宗家)の嫡子を任じた。惣領は所領の経営統制、公事の負担などに指導的役割をはたし、戦闘のさいには庶子を率いて参戦した。総領主。総領地頭。総地頭。
- [初出の実例]「一 惣地頭押二紡所領内名主職一事、右給二惣領一之人称二所領内一掠二領各別村一事、所行之企難レ遁二罪科一」(出典:御成敗式目(1232)三八条)
- ⑤ 家をうけ継ぐ子。嗣子。総領主。
- [初出の実例]「家督 カトク 一家之総領(ソウリャウ)也」(出典:文明本節用集(室町中))
- 「総領は総領、庶子は庶子なり」(出典:随筆・戴恩記(1644頃)上)
- ⑥ 特に、長男、または長女をいう。一番上の子ども。兄弟中の最年長者。
- [初出の実例]「梅よりも先惣領や雪の花〈氏重〉」(出典:俳諧・犬子集(1633)一)
- 「お嬢さんは御惣領(ごソウリャウ)だからお跡とりだ」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)二)
- ⑦ 江戸後期、将軍家直参の家柄、旗本御家人の後継人。大名家のあとつぎの嫡子に対する語。
- [初出の実例]「書面、嫡子惣領と唱候儀、古来〈略〉唱方区々に有レ之候得共、近来は万石以上並交代寄合迄は嫡子と相唱、其以下は惣領と相唱候」(出典:諸心得問合挨拶留‐下・第五〇条・寛政一二申年(1800)本多豊後守留守居より聞合下げ札)
すぶる‐おさ‥をさ【総領・総令】
- 〘 名詞 〙 ( 「そうりょう(総領)」の訓読み ) =そうりょう(総領)①
- [初出の実例]「周芳の揔令(スフルヲサ)の所(もと)に送(つかは)す」(出典:日本書紀(720)天武一四年一一月(北野本訓))
すべ‐おさ‥をさ【総領】
- 〘 名詞 〙 =そうりょう(総領)①
- [初出の実例]「伊予の摠領(スヘヲサ)田中の朝臣法(ほむ)麿等に詔して曰はく」(出典:日本書紀(720)持統三年八月(北野本訓))
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普及版 字通
「総領」の読み・字形・画数・意味
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総領
そうりょう
広島県東部、甲奴郡(こうぬぐん)にあった旧町名(総領町(ちょう))。現在は庄原市(しょうばらし)の南端部を占める地域。旧総領町は1955年(昭和30)領家(りょうけ)、田総(たぶさ)の2村が合併して成立。2005年(平成17)庄原市に合併。国道432号が通じる。旧町域は中国山地吉備(きび)高原上にあり、米麦中心の農業のほか、和牛飼育、野菜・コンニャク栽培などが行われる。スギ、ヒノキの良材生産地としても知られる。過疎地域で人口流出が激しかったが、近年「過疎を逆手にとる会」(2001年「逆手塾」と改称)など県北の農村再興の中心となっている。1985年、セツブンソウの自生が確認され、以後、セツブンソウの栽培が行われている。龍興寺(りゅうこうじ)には行基(ぎょうき)作と伝えられる観音(かんのん)像がある。
[北川建次]
『『総領町誌』(1994・総領町)』
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総領
そうりょう
広島県北東部,庄原市南部の旧町域。吉備高原上にある。 1955年田総 (たぶさ) 村と領家村が合体して町制。両村の1字ずつをとって町名がつけられた。 2005年庄原市,西城町,東城町,口和町,高野町,比和町の1市5町と合体して庄原市となった。領家地区はもと天領。平坦地が少なく,農業と林業が主。米作のほか,コンニャクイモ,シイタケなどの栽培が行なわれる。
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世界大百科事典(旧版)内の総領の言及
【国司】より
…これは律令的な地方官で,その官制は長官・次官・主典(判官ともある)の三等官制だったようであるが,定員の規模はのちの令制の国司よりもかなり大きく,管轄区域も令制の数国にまたがる広域支配のものであった。したがって当時国司の文字が当てられていたかどうかは疑問で,《常陸国風土記》ではこれを総領と呼んでいる。この国司ははじめとくに造籍・校田と民間の武器の収公を任務とし,民政全般をつかさどったわけではなく,裁判権も認められなかったが,大化末年から白雉年間(650‐654)にかけてのちの令制につながる国郡制が整えられていき,その結果この広域支配の国司は一部の地方を除いて消滅したとみられる。…
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